女の子だものね!と渡されたものに困惑
2年前、第2子である娘が生まれたときの話です。第1子は男の子だったこともあり、義母は女の子の孫を望んでいました。第2子が女の子と伝えたときは、とても喜んでくれたのを覚えています。私には、女の子を出産したら“レースがふんだんについた白の退院着を着せる”という夢がありました。出産の少し前から夫といろいろなベビー用品店へ出向き、娘が退院するときに着る白のセレモニードレスをたくさん吟味。ようやく決めた1着を大切に持って、いざ入院しました。
出産を終えて母子ともに健康に過ごし、あと少しで退院となるある日、義父と義母が面会に。2人はとても喜んだ様子で会いに来てくれました。ふと義母の手に目をやると、何やらプレゼントを持ってきてくれた様子。すると義母が「これ、退院のときに着せてあげてね」と、ピンクのふりふりとしたベビードレスを差し出し、「女の子だもの。これくらいかわいいものを着せてあげたいわよね!」と言ってきました。興奮気味な義母の様子に、少し戸惑ってしまった私。「あ、ありがとうございます……」と受け取ったものの、「私には憧れの“白いセレモニードレス”があるのに、どうしよう……」と困惑してしまいました。
その日の夕方、夫が面会に。今日あったことを話しました。「私は白いドレスを着せたいの。でも退院時にはお義父さんもお義母さんも来るだろうし、もらったドレス着せてなかったらなんて思われるか……」と相談。すると夫は、「母さんには俺から言っておくよ。母さんがくれたベビードレスはほかのイベントのときに着せることにしよう」と私の気持ちを汲み取ってくれました。
しかし翌日、シャワーを終えて病室に戻ると、そこにはなんと義母の姿が……。アポなしだったため驚いていたら、「私があげたドレス、気に入ってないみたいね。女の子なんだからピンクのかわいい方がいいに決まっているでしょう!」と病室で激怒。「それに、嫁なら義理の親にもらったものはありがたく使わせてもらうものよ!」とまで言ってきます。それでも私は勇気を出し、「白の退院着は私の憧れなんです! 退院の日は自分が選んだドレスを着させたいです」とキッパリ伝えると、義母は「私のころは文句言わず義母が買った退院着を着せたものよ」「自分のことしか考えてないのね」と言い残し、立ち去りました。私が産んだ、私の娘なのに、着せたい服を選ぶことにまさか「自分勝手」と思われるなど思ってもみず、私はしばらく呆然としてしまいました。
退院の日、迎えに来た夫に義母との話をすると、「気にせず自分の着せたいものを着せたらいい」と言ってくれ、私はドキドキしながら憧れの白い退院着を娘にそっと着せます。病院での退院受付を済ませるとそこには父と母、そして義父と義母の姿もありました。私は義母に「せっかくドレスをいただいたのにすみません。必ずほかのイベントのときに使わせていただきます」とひと言。すると義母は「いいのよ。私こそ、ついはしゃいでしまって。こんな時代なのに、女の子だからとか嫁だからとか……本当にごめんなさいね」と謝ってくれました。
あんなにカンカンに怒っていた義母に謝罪されるとは想像もしておらず驚いていると、横から義父が「こいつ、昨日ものすごく怒って家に帰ってきてな。どうしたもんかと聞いたら『私のときは義母が絶対だったから、今度こそ自分の着せたいものをって思ってたのに』って泣いたんだよ。でも今の時代、そうじゃないだろ? 自分の悔しかった思いを今度は○○さん(私)にさせたいのか? って話をしたんだ」と事情を説明してくれたのでした。
ずっと義母の憧れだったというピンクのドレス。それだけ思いが強かったのだと知り、少し申し訳ないなと思いましたが、義父が私の思いを汲んでくれてよかったです。その後のお宮参りでは、義母がくれたベビードレスを娘に着せ、義母はとても喜んでくれました。
娘に自分が選んだセレモニードレスを着せるのは、性別がわかったときからの私の夢のひとつだったので、義母からの押し付けには戸惑いました。義父の言うように、「自分がされて嫌だったこと」を同じようにほかの誰かにしてしまうのは、私は間違っていると思います。私が将来誰かの「義母」になったとき、自分が義母にされて嫌だったことは絶対にしないように心がけようと思います。そしてこれからも、義母の思いも尊重しつつ、自分の気持ちを素直に伝えていこうと決心した出来事でした。
著者:中村あんな/30代・ライター。5歳と2歳の子どもを育てるママ。家計を支えるため、ライターの傍らパートも開始。夫は激務のため、子育てはほぼワンオペ状態。常に子どもたちが楽しめるイベントや遊び場を模索中。
作画:fukafuka
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年10月)