和やかな職場だったのに…
私の部署は社員同士の仲が良く、日々、助け合いながら仕事に取り組んでいました。ところがある日、A山という男が新しい部長に。彼は部長だからといってふんぞり返り、最初から不穏な空気を漂わせていました。
嫌な予感がしながら翌日、私は部署のミーティングを設定。私が話をまとめていると、A山は耳を疑う発言をします。
「何もできないくせに」
彼の発言に、その場に全員が黙り込み、空気が凍るのを感じました。それでも彼は続けます。「こんなの、どうでもいい打ち合わせだろう。仕事ができない人間はこれだから困るな」
心の中で「これは先が思いやられる…」とため息をついた私。そして、この不安は的中しました。
彼は、人の仕事には口を出すのに、自分は管理職だからと何もやらない人間だったのです。あらさがしをしては部下をネチネチと叱り、逆にいい成果が出ると「部長の俺が担当した」と手柄を横取り。みんなと協力し合うという精神がまるでありませんでした。
耐え難い日々が続きましたが、職場のみんなと「大丈夫、私たちなら乗り切れる」と励まし合い、仕事をしていました。
反撃の幕開け
ある日の朝礼のこと。A山は突然「お前らの営業ノルマは1000万円!」と宣言しました。そして、「俺はエリート部長なんだからビシビシしごいてやる。できないなら…減給かもな!」とニヤニヤ。
好き勝手なことを言うA山に、私は何とか怒りを押し殺して答えました。
「たったの1000万円ですか?」
A山は「は?」と驚いている様子。実は、私たちのチームはすでに今月、1千万円以上の成果を上げていのです。さらに私は、大手企業との契約を締結した資料を見せました。
「なんだこれ!? こんな大手がうちと契約を? 一体どうして…」
「この案件の取引先の代表者が身内でして。話を聞いてもらえないかお願いしたんですよ。もちろん、契約締結はあくまでプロジェクトの内容が評価されてのことですよ」
A山は言葉を失い、震える手で資料を持ったままぼう然としています。
A山に社長が一喝!
「それより、ご自身の部署の売上すら把握されていない部長っていかがなものでしょう。ねぇ社長?」
私はそう言って、半開きになっていた扉の外に目をやりました。実は、A山の横暴な振る舞いを実際に見てもらうため、こっそり社長にご足労いただいていたのです。まさかこのタイミングで、あんなノルマの話をぶち込んでくるとは思ってもみませんでしたが…。
「A山くん、君が社員たちにどんな風に接しているか聞いたから来てみれば…」
「いや…、これは違うんです! 私はただ指導の一環として…」
言い訳を続けるA山に対して、社長は一喝。
「みんなに圧力をかけるだけかけて、君は業務内容をキチンと把握していないのか? 続きは社長室で話そう」
横暴なA山の末路は…
その後A山はパワハラが問題となり、本格的な内部調査の対象となりました。ところが、それは本人のプライドが許さなかったようで、自主退職という結果に。
一方、このトンデモ部長が消えてから、職場は以前のように穏やかな日々を取り戻し、みんなも生き生きと仕事をしています。成果もますます向上し、みんなで一丸となって新たなプロジェクトに取り組んでいます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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