そんな妹は高校卒業後すぐに結婚し、3人の子どもの母親になりました。しかし、末っ子が3歳になったころに突然の離婚。子どもを連れて実家に戻った妹を、母は決して甘やかすことなく、自立させるために厳しく指導していました。
母の入院と妹の身勝手な行動
ある日のこと、突然母が倒れて入院することになりました。当時、私は臨月を迎えた妊婦でした。実家のすぐ近くに住んではいたものの、おなかも大きく、思うように身動きが取れない状況。父は仕事が忙しく、母のお見舞いと着替えを届けることで手いっぱいの様子でした。
そこで私は、実家に住む妹に母の付き添いや身の回りの世話を頼もうと連絡しました。ところが、返ってきたのは「仕事が忙しい」「自分のことで精いっぱい」という冷たい拒絶。結局、妹は一度も母のお見舞いに行かず、協力も一切してくれませんでした。
妹が動かない分、父と私の夫が必死に時間をやりくりしてくれ、無事に母の手術は成功。あとは退院を待つばかりという状態まで回復しました。妹も少しは心配しているだろうと思い、経過を報告するために電話をかけると、返ってきたのは信じられない言葉でした。
「あの鬼みたいな母親でも、病気になるんだね〜!」
私は怒りで爆発しそうになりましたが、ぐっとこらえました。しかし、妹の暴走はこれだけでは終わらなかったのです。
臨月の私に子ども3人を押しつけて…
翌日、私が母の着替えや日用品を取りに実家へ立ち寄ると、リビングでくつろいでいた妹から耳を疑うような提案をされました。
「お母さんが入院中なら、うるさく言われないし最高! 彼氏とデートに行ってくるから、子どもたち預かってよ。お父さんは仕事であんまり家にいないからさ〜」
続けて妹は、ヘラヘラ笑いながらこう言いました。
「お姉ちゃんなら無料で預かってくれるから節約になるし♪ どうせ臨月で暇でしょ?」
臨月の妊婦に、手のかかる年齢の子どもを3人も預けようとするなんて。相変わらずの非常識さに、開いた口が塞がりませんでした。私がその場できっぱりと断ったにもかかわらず、妹は私の言葉を完全に無視。数時間後、勝手に子どもたちを私の家まで連れてきて無理やり押し込むと、私が文句を言う暇もなく車で走り去ってしまいました。
結局、妹が迎えに来たのは夜遅くになってから。あまりの勝手さに怒る私を見て、妹は反省するどころか「お姉ちゃん、お母さんに似てきたね」と鼻で笑う始末。その態度がどうしても許せず、私は「もう二度と家に来るな!」と言い放ち、妹と子どもたちを帰しました。
彼氏と泊まりがけの旅行!?
しかし、懲りない妹は翌週も子どもを預けにやってきました。あれだけ言ったのに、何も伝わらなかったようです。「お父さんにバレたら怒られるから、お姉ちゃんしか頼めないんだよね〜」と、父のいない隙を突く用意周到さ。またしても強引に子どもを預け、そのまま彼氏と泊まりがけの旅行に行ってしまいました。
ところが、その様子を奥の部屋で静かに聞いていた人物がいました。実はそのとき、予定より早く退院した母が、産前産後の私のサポートを兼ねて、わが家に身を寄せていたのです。
一度もお見舞いに来ず、家族のLINEも未読無視していた妹は、母がすでに退院していることを知りませんでした。妹が玄関先で子どもを放り出し、彼氏の車に乗り込む様子を、母はカーテンの隙間から険しい表情で見つめていました。
母は「帰ってきたら私に知らせて……」と、静かに、しかし深く怒りをためていました。
妹の彼氏の正体に驚愕!
数日後、旅行を終えた妹と彼氏が、子どもを迎えにやってきました。そこで出迎えた母の姿を見て、妹は幽霊でも見たかのように固まっていました。
母は妹の隣にいる彼氏の顔をじっと見つめると、冷ややかな声でこう言ったのです。 「あんた、既婚者だね?」
二人の表情が、明らかに青ざめていきました。
「奥さんはY田さんの娘さんだよね。私、Y田さんとは同じフラダンス教室に通っているのよ。世間は狭いっていうのは、本当だね」
母の顔の広さが、一瞬で妹の不倫を暴いたのです。
私は、母の鋭さに心の中で拍手しました。身バレした彼氏は急に怖くなったのか、妹を置いてそそくさと逃げ帰っていきました。不倫を見破られ、母ににらまれた妹は、気まずそうに立ち尽くすしかありません。この後、母にこっぴどく絞られ、厳しい落とし前をつけさせられたはずです。
私はというと、その直後に陣痛がきて病院に向かったので、事の顛末を最後まで見届けることはできませんでした。しかし、その後のおとなしくなった妹の様子を見ると、さすがに今回は懲りたのでしょう。 妹もいい大人。これからは自分の身勝手な行動を猛省し、親としての責任をしっかり果たしてほしいものです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。