サンタの正体をバラそうとする母「いつかわかるしイイじゃない！」最低…え？最悪な空気に突然の乱入者

正体を明かしてどうするつもり！？

冬の大イベント、クリスマス。当時4歳の娘は折り紙の裏に欲しいプレゼントを書いて、誰にも見せずに私が手作りした「サンタさんポスト」へ入れました。娘はクリスマスが楽しみで毎日サンタさんの話ばかり。当日、サンタさんへリクエストしたプレゼントを枕元で見つけた娘は大喜びでした。

プレゼントを用意した私たち親が娘の喜ぶ姿に安堵していた矢先、家のインターホンが鳴りました。玄関先のカメラを確認すると、そこには母の姿が。なんと朝早く突然アポなしでやってきたのです。クリスマスなので、母の思惑はすぐに理解できました。母は家に入るなり娘へプレゼントを差し出します。中身はなんと娘がサンタさんにリクエストしたぬいぐるみ。私たち夫婦は驚き、つい「なんで？」と声に出てしまいました。

娘が同じプレゼントに困惑していると、母は「これサンタさんにお願いしてたプレゼントでしょ」と話します。そして、娘が先に開けていたサンタさん（私たち）からのプレゼントを見て、「あら、同じの2つになっちゃったねぇ。ばあばが買うってママにきちんと言ってなかったわ」と言ったのです。娘は「なんで、ばあばが知ってるの？ サンタさんへの手紙にしか書いてなかったのに……」とごもっともな発言。

楽しいはずのクリスマスなのに、大人たちの間では空気が凍り付き、同時に母にイラ立ちました。娘にはそんな「サンタさん事情」はわからないので、私たち夫婦はイライラを隠しながら「わぁ同じプレゼントだね、どうしようね」と思いつく言葉を並べるしかありませんでした。夫は場の雰囲気に降参したのか、違う部屋へ姿を消す始末。母は娘から突っ込まれても何も動じず「サンタさんへのお手紙見せてもらったのよ。かわいく書けてたね。ママたちも見たから同じプレゼントなのよ」とネタばらしのようにひとりで話し始めました。

私は我慢できず「もっと冷静になって！」と伝えると、「あらいいじゃない。いつかわかるんだし」と開き直った母。娘は「どういうこと？ サンタさんはママなの？」と言って不安そうな表情をし、私の母へのイライラが最高潮に達したそのとき、急に玄関の扉が開きました。「メリークリスマス！」と聞こえ、現れたのは、なんとサンタさん。

思わぬ突然の出来事に私たちは驚きました。サンタさんは目をキラキラさせる娘に近づき、「プレゼント気に入ってくれたかな？ 実はこれを届け忘れてしまったんだ」と、クリスマスカードを手渡してくれました。「ではまた来年」と背を向けて玄関に向かって歩き始めたサンタさんは、そこにいた母をちらっと見て睨み、去っていったのです。娘は「本当にサンタさんいた～！」と大はしゃぎ。ビクッとした母は、うれしそうにする娘の姿を見て「ごめんなさい」と小さな声で呟きました。

そのサンタさんの正体は、父でした。母は、以前わが家に来た際、こっそりサンタさんポストから手紙を取り出して読み、プレゼントを準備していたようです。そんな母の行動を知った父は、もちろん母を止めたようですが、母は聞く耳を持たずわが家に向かったそう。このままでは娘の夢を壊してしまうと思った父は、機転を利かせて自らサンタになりきり、母を追いかけてきてくれたのでした。父の行動のおかげで、無事サンタさんの正体が娘にバレずに済みました。母は家に帰って、父にきつく叱られたそうです。それ以来、母には娘が悲しむようなことをしないように忠告し続け、勝手な行動をしないよう注意深く見ながら過ごしています。

母がプレゼントを用意してくれたのは、単純に娘の喜ぶ顔が見たかったからだと思いますが、サンタさんの正体を軽い気持ちでバラしてしまえば、悲しませることになってしまうと思います。母の「自分が喜ばせたい」という思いもうれしいですが、身近な大人こそ、子どもが抱く大切な夢や世界観を壊さず見守ってほしいなと思いました。これからも、子どもに寄り添う姿勢を大切にし、家族みんなで娘の夢を守らなければと再認識した出来事でした。
 

著者：矢田むぎ／40代・ライター。おてんばな5歳長女とマイペースな3歳の次女、1歳になったばかりの長男とにぎやかに過ごすママ。自分に合った「頑張りすぎない育児」を考え毎日にぎやかに過ごしている。家族が寝静まったあとのひとり時間が大好き。