この言い伝えにまつわる体験談も、いくつか寄せられています。
つわり中に通った中華料理店
ひどいつわりを経験した私。一番つらいときは、ご飯と浅漬けをスプーン1杯食べるのがやっと。少しマシになったころには、中華スープが食べられるようになりました。
結局、妊娠中は最後まで普段どおりの食欲に戻ることはありませんでしたが、少しでも体力をつけようと、とある中華料理店によく足を運んでいました。
生まれた子どもは好き嫌いが多いものの、その中華料理店の料理だけは不思議とよく食べます。もしかすると、妊娠中の私の食生活が影響しているのかもしれません。(あきさんの体験談)
このように、つわりの時期の食べ物との向き合い方が、子どもの食の好みに影響しているのではないかと感じているママは少なくないようです。そこで、この話がどの程度当てはまるのかを探るため、132名のママを対象にアンケート調査を行いました。
アンケート結果から見えてきた傾向
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つわりの最中「無性に欲した食べ物」は赤ちゃんの好物か? アンケートをとったところ、最も多かったのは、「どちらとも言えない」という意見で、全体の53%を占めました。その背景には、子どもがまだ成長過程にあり、食の好みが固まっていないケースが多いことが考えられます。特に離乳食初期は、口にできる食材の幅が限られるため、十分な食経験を積む前では、好みを明確に判断しにくいという事情もあるでしょう。
その一方で、「大好物レベルで好き」と「けっこう好き」を合わせると、全体の39%にのぼります。この結果から、つわりの時期にママが特に強く欲した食べ物が、実際に子どもの好みに結びついていると感じている人が、一定数いることがうかがえます。
こうした数字を踏まえると、「妊娠中にママが強く欲した食べ物は、赤ちゃんの好みに影響する」という話も、単なる噂として片づけてしまうには、少し気になる結果と言えるかもしれません。
医師の見解は?
このような結果を医師はどのように捉えているのでしょうか。三鷹レディースクリニック院長 天神尚子先生にうかがいました
「つわりの最中に無性に欲した食べ物が、生まれた後の赤ちゃんの好物になる」という噂について、医学的な観点から整理すると、現時点で明確な因果関係を示す根拠はありません。
一方で、海外の研究では、胎児期や授乳期に母親の食事由来の風味に触れることで、その味や香りに対する「慣れ」や「受け入れやすさ」が生じる可能性が示唆されています。妊娠中や授乳中の食体験が、赤ちゃんの味覚の形成に何らかの影響を与える可能性は否定できないと考えられているのです。
ただし、これらはあくまで「好みに影響を及ぼす可能性」を示したものであり、「妊娠中に欲した食べ物が必ず好物になる」と断定できるほど明確な法則ではありません。そのため、この噂は迷信として切り捨てるには単純すぎる一方、科学的に裏づけられた事実として受け止めるには慎重さが求められる、というのが現時点での見解と言えるでしょう。
つわり中の食体験は、妊娠期の中でも特に印象に残りやすい出来事です。「これしか食べられなかった」「毎日のように同じものを食べていた」といった体験は強く記憶に残りやすく、出産後、わが子が同じ食べ物を口にする姿を見ることで、妊娠中の記憶と自然に結びつけて捉えられることもあります。
こうした印象的な体験の重なりが、この噂が語り継がれてきた背景にあるのかもしれません。
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つわりの時期は、思うように食べられなかったり食の好みが極端に偏ったり、ママにとって想定外なことが多い期間。そのときの食体験が、わが子の食の傾向と重なって見えると「噂は本当なのかも?」と感じるのではないでしょうか。
たしかなエビデンスは得られなかったものの「あのときは本当に大変だったけれど、こんな形でつながっているのかもしれない」と感じられたら、当時の経験もほんの少し、前向きに受け止められるのかもしれませんね!
■調査概要
調査タイトル:「噂の真相」に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2025年12月2日(火)〜12月9日(火)
調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用した方
調査条件:1人以上お子様がいらっしゃる方 174人