嫌味な高校の同級生
僕は都内のIT企業でセキュリティ関連の仕事をしている会社員です。ある日、残業終わりに家のポストを見ると、高校の同級生・Aから結婚式の案内が届いていました。
正直、Aとはあまりいい思い出がなく……。彼からは、高校時代「地味男!」と呼ばれていて、小バカにされていました。大人になってから、高校の同窓会に参加したときにも、「俺、婚約者がいてさ! 挙げるなら、立派な式にしたいな…。まぁ、お前は結婚とかないか」という発言をしていました。
その後、「もし俺が結婚式を挙げることになったら、お前も呼んでやるよ」と言っていたA。Aは僕に自慢をするために、僕を結婚式へと招待したのでしょう。
それでも、僕たちは30歳と、ある意味節目の年齢でもあり、「過去を引きずり続けるのも違う」と思った僕は、出席を決めました。
席を用意していないと言うA
そして結婚式当日。僕がロビーのところにいると、後ろから「あれ、本当に来たんだ」と言う声が聞こえてきました。
声のするほうを向くと、タキシードを着ているAの姿が。Aは続けて、
「来ないと思ったから、お前の席、用意してないよ」
と驚きの発言をして……。冗談めかした言い方でしたが、明らかに周囲に聞こえる声で言いました。どうやら、Aは僕のことをからかいたくてわざわざ僕に会いに来たようでした。
僕があ然としていると、Aは「今日は俺のお世話になった上司も来ているから…変なことしないでくれよ」と言いました。
そのとき、後ろから「君たち」と声をかけられました。その人物を見て、Aは「あ、この人が今話をしていた…」と言いかけたのですが……。その人物は、Aの声を遮るようにして、僕に「元気かな。大丈夫?」と声をかけてくれました。
結婚式でAが知った事実
僕に声をかけてくれたAの上司だという人は、実は僕の婚約者の父であるB。Bと、僕の父は同級生で仲が良く、僕とBの娘は幼なじみでした。そして、幼なじみから恋人になり、最近婚約者の関係になったのです。
僕と親しげに話すBの様子を見て、Aは明らかに動揺。
Bは、青ざめているAに「式に来てもらった人に、あんな発言をするなんて…」と言っていました。そしてAに向かって、「君のことは信頼していたけれど…あんな一面があるとは知らなかった。その態度を改めない限り、私の信用は得られないと思いなさい」と続けました。
これからの僕
その後、僕はなんとか席を用意してもらい参加したのですが、挙式中も披露宴中もAはずっと顔が引きつっていました。幸せなはずの結婚式で、Aの様子は痛々しく見えて……。僕に言った「席ないから」という発言を聞いていた人もいたらしく、式の雰囲気は最悪でした。
結婚式が終わった直後、僕はAと顔を合わせたのですが、彼からは何も言われませんでした。
落ち込んでいるAに対して、僕はもやもやしていた気持ちが落ち着きました。Aは、今回の結婚式を通して、自分の振る舞いが、他の人にどんな目で見られていたのかをきちんと理解したのだと思います。
僕にとって、高校の思い出は苦いものでしたが、この結婚式を通して、過去にとらわれず前に進むことができそうです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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