なんど言ってもちゃんとやってくれない、注意しても同じ間違いをするなど、しつけをする上で困っているなら、もしかしたら伝え方をちょっと変えたほうがいいかも。記憶のメカニズムを知って、子どものしつけをラクにしませんか。
記憶するまでの過程とは
記憶の過程には情報をキャッチする第一過程、記憶を定着させる段階の第二過程、記憶を蘇らせアウトプットする段階の第三過程に分けられます。
たとえば電車内でのしつけに当てはめてみると、
第一過程:子どもが電車内では静かにしていなければならないということを知る
第二過程:子どもが電車に乗るたびに静かにしなければならないことを思い出し、試みる
第三過程:子どもが、親などに言われなくても自ら電車内で静かにするようになる
このうちの第二過程を何度か繰り返すことによって、第三過程の状態になります。
また、情報をキャッチした段階と思い出す環境が同じだと記憶の再生率が高いとされています。
子どもが自らやるようになるには?
人の記憶について調べたところ、最初に聞かされた単語と最後に聞かされた単語の再生率が高いということがわかっています。つまり、あまり長々と話しても覚えていられないということです。ましてや子どもであれば、端的に伝えるのが効果的と言えます。
また、単純に反復して覚えるより、意味や関連を考えて覚えたほうが長期記憶に移行しやすいとされています。「やりなさい」と言い続けるより、「○○だから、こうしようね」と伝えたほうが記憶に残りやすいのです。
感情的にガミガミ言ってしまうのは要注意
言っても言ってもきちんとやってくれないと、つい声を荒げてしまったりしてしまうこともあるでしょう。けれど、これには注意が必要です。
努力して覚えようとしなくても忘れられない記憶を「フラッシュバブルブ記憶」と言います。これは一般的には、大切な人との死別や大きな事故を目の当たりにしてしまった場合などに起こるとされていますが、日常でも起こり得ることです。
感情的に怒られることによって、子どもが知らずのうちに心に大きな衝撃を受けてしまい、場合によっては、成長していくにつれて、忘れたくても忘れられずに苦しむ要因ともなりえます。あくまでも、“しつけは冷静に“が重要です。
つい長々と諭してしまう、つい声を荒げてしまうなどはしつけには逆効果。端的に伝えて、焦らず、そしてこどもがきちんと反復して自分のものにするまで温かく見守りましょう。