統計上、成人1人あたり平均2枚以上発行されているクレジットカードですが、アメリカの精神科医のデビット・クルーガー博士の研究によると、クレジットカードは現金よりも支出が平均23%増えるとのデータもあるようです。
カードをじょうずに使いこなすための方法や使うことが向いていない人など、クレジットカードの基本についてお伝えしてまいります。
1.キャッシュレス(現金を使わない支払い方法)は今後ますます増加
クレジットカードに限らず、デビットカード(口座から即時に引き落とされるカード)や電子マネーなど、現金を使わない支払い方法が広まりつつあります。
海外ではその傾向が強く、たとえばスウェーデンでは現金が使えないお店も多く、現金の使用率は1割を切り、インドでは2016年に高額紙幣の使用を禁止(日本に置き換えると1万円が使えない状態)したりと、多くの国がキャッシュレスに向かっています。
一方、日本ではキャッシュレスの手段が広まりつつあるものの、現金を使う機会は少なくありません。2020年の東京オリンピックを迎えるにあたって、海外からの旅行者が増えることを見込み、キャッシュレスの対応を進めているところです。
日本においては短期間で現金が使えなくなる状況は考えにくいのですが、キャッシュレス化が進まないことも考えにくいので、クレジットカードをはじめ、キャッシュレスに慣れていくことは必要と思われます。
2.クレジットカードは後払いのため、使いすぎてしまう可能性も
クレジットカードはその場で現金や残高が減るわけではないので、使いすぎてしまう傾向にあります。使う際にはこの特徴を覚えておくだけでも、少しは使い過ぎを防げると思います。
しかし、目に見えて現金や残高が減らないため、どのくらい使ったかわかりにくい点には変わりません。カードを使った際にメモや家計簿、アプリなどで記録をつけておくか、請求の明細で何にいくら使ったかを把握する必要があります。この振り返りができない人は使い過ぎてしまう可能性が高いので、クレジットカードの利用はあまりしないほうがいいでしょう。
また、使った金額を把握していないこと以外に多重債務になってしまう可能性があるのが、リボルビング払い(リボ払い)と呼ばれる、利用額の範囲で返済額を一定額支払う方法の多用です。
たとえば、リボ払いの設定額を月1万円に設定すると2万円の買い物をしても、15万円の買い物をしても、月々の返済額は1万円になるので(返済期間は残高によって異なります)、使った総額を把握しにくい状況になります。
分割払いやリボ払いでは、金利や手数料がかかることはほとんどですので、総額も現金より増えてしまうことになります。計画的な状況でリボ払いを使うことはあってもいいのですが、欲しいものがあるからといって安易にリボ払いをすることは避けたほうがよさそうです。
3.固定費や大きなお買い物はクレジットカード、娯楽や無駄遣いは現金
使い過ぎてしまう可能性のあるクレジットカードですが、光熱費・通信費・家賃・保険料等の固定費をクレジットカードで支払えるものが増えています。いずれにしても支払わないといけないものであれば、ポイントを貯めつつ、支払い漏れの可能性も減り、明細もまとめられるクレジットカードを使うメリットは大きいです。
また、家具や家電など大きな買い物をするのに多額の現金を持ち歩かず支払いができるので、計画的な買い物であれば、この場合もクレジットカードを使っていい状況と思われます。 逆に娯楽や無駄づかいをクレジットカードで支払い、使用状況の確認をしないと、カードがあるからこそ使ってしまう習慣になってしまいます。この状況を避けられない人は、カードの枚数を減らし、本来使う状況以外は財布に入れておかないことが必要かもしれません。
また、自動車や住宅、出産などで一時的にお金を集中して貯めたい場合は、カードを固定費以外に使わないか、カードを全部解約してしまうくらいのほうがお金が貯まりやすい状況になります。何十年間もこの状態は続けられないと思いますが、数年間程度に集中してお金を貯めたい場合はこの方法もおすすめです。
クレジットカードに限らず、多くのものにメリット・デメリットが存在します。じょうずに使えば便利で使用履歴も残りポイントも貯まりますが、何も考えずに使えば、使い過ぎて貯蓄がしにくかったり、債務が大きくなったりします。ご自身やご家族にあった使い方を考えたうえで、じょうずにクレジットカードを使いこなしてください。