義実家の空気を変えた夫のひと言
義実家への帰省は、私にとって苦痛以外の何物でもありません。というのも、結婚当初から、専業主婦として完璧を求める義母と、その教えを忠実に守り「デキる嫁」として振る舞う義兄の奥さん・Aさんから、フルタイムで働きながら夫婦で子育てをする私は「家事が疎かな嫁」として冷遇されてきたからです。
私が食事の準備を手伝おうとキッチンに向かった瞬間、義母がため息混じりに「来るのが遅いわ。こんなこと言わせないでちょうだい。まったく、仕事ばかりで家庭のことが後回しな人はやっぱりダメねぇ。Aさんは気が利くのに」と急に言い放ったのです。Aさんも「そうですよね。私なんて、夫のサポートは義務だと思っていますし。仕事優先なのは、そういう教育を受けてきたからですかね?」と、私の実家まで否定するような嫌味を重ねてきました。「また始まった……」と思い、私は逃げ出したい気持ちに。
料理をしていても、「手際が悪い」「これだから仕事しかしてない女は」とさらに追い討ちをかけてきます。ダイニングで子どもたちの相手をしていた夫は、黙ってうつむいたまま。「妻がこんな風に言われていても、助けてくれないのね……」と私は絶望に近い気持ちになり、少し離れた椅子に座りました。すると義母は「あら、座るのね? 手伝う気がないなら来なきゃいいのに」と何をしても否定する言葉を投げつけます。
極めつけは、食事直前での出来事でした。義母がAさんをべた褒めしながら、私に向かって「長男の奥さんは、できがいいのよねぇ。どこに呼んでも恥ずかしくないの。それに比べて次男のところは……。まぁ、気にしないようにしてるけど」と言います。4歳の娘も義兄の子どもたちも別室で遊んでおり、リビングには大人だけ。義父にも義兄にも聞こえているはずなのに、あえて気にしていない風を装うその態度に、私は怒りと苦しさでどうしていいかわからなくなりました。
しかしその瞬間、夫が立ち上がって、「母さん、聞こえてるよ! わざと傷付けるような言い方、大人として恥ずかしくないのか?」と言ったのです。夫は俯いて耐えていたのではなく、義母たちの暴言がどこまでエスカレートするか、逃げ場のない証拠として聞き届けていたのです。するとその場の空気が一瞬で変わり、義母もAさんも言葉を失いました。義父も目を見開いたまま固まっています。
夫は私の肩に手を置いて「俺は妻を尊敬してるし、ちゃんと家のことも育児も頑張ってる。それを俺は知ってる。そんなにひどいことばかり言って比較するなら、ここにはもう帰らないよ」とはっきり言ってくれました。Aさんは俯き、義母は「聞き間違えよ」と慌てて取り繕おうとしましたが、夫は「俺が選んだ妻を否定するってことは俺のことも否定してるってことだよね? 母さんがそんな態度でいる限り俺のことも息子と思わないでくれ」と一切折れませんでした。義父や義兄は夫たちのやり取りを横目に、触らぬ神に祟りなしとでも言いたげに黙っています。
結局そのまま義実家をあとにし、車の中で夫から、「つらかったよね、ごめん。もうあんな思いさせないから」と言われ、私は泣きながら「ありがとう」と夫に感謝しました。
義母とAさんの態度がすぐに変わるかどうかはわかりませんが、夫が味方してくれているとわかった以上、私ももっと堂々としていいのだと実感。帰省のたびに苦痛を感じていましたが、少し心が軽くなりました。
結婚すると、義実家の人間関係に悩むこともあるかもしれません。しかし、ひとりで抱え込まず、苦しさを感じたら身近な味方に助けを求めることも大切だと実感しました。大切なのは、身近な味方と価値観を共有し、自分たちにとっての「正しい境界線」を引く勇気を持つことだと痛感した出来事でした。
著者:長嶺りょう/30代・主婦。4歳の女の子を育てるママ。寝る瞬間までおしゃべりを続ける娘の横で白目を剥きながら、大好きな推しのことを考えて現実逃避中。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)