「米に合わない」論争に終止符
共働きのわが家は、毎日の夕食作りが時間との勝負です。当時4歳の長男と2歳の長女が喜ぶ「肉じゃが」は、野菜たっぷりで栄養満点! 圧力鍋を使えば短時間で作れるため、わが家の定番料理のひとつとなっています。しかし、夫はいつも「肉じゃがはおいしいけど、これはメインじゃないな。だって、米が進まないだろう? 米にガツンと来ないおかずは、あくまでも副菜だな。もう一品作ってほしいよ」と決まって言うのです。私はそのたびにイラッとしつつ、文句を言われるのが嫌で焼き魚をつけるように。夫は「そうそう、これこれ。実家もいつも肉じゃがは小鉢だったんだよ」と言いますが、夫の勝手な定義で否定され、悔しい気持ちでいっぱいでした。
ある週末、近所の義実家で一緒に夕食を食べることに。私は手作りの肉じゃがを持参しました。義母も「味が染みていておいしいわ」と褒めてくれ、和やかな雰囲気で食事が進みます。すると、夫が義母に向かって「でもさ、肉じゃがって副菜だよね?コイツいつも肉じゃがメインで白米食えって出すんだよ」と、愚痴を話し始めたのです。
義母は「ちょっと待ちなさい。あんたが子どものころ、『肉じゃがだけで2杯は食べられる!』ってモリモリ食べていたのを忘れたの?」と言い放ちました。すると夫は、「でも母さんは、『お父さんが言うから』って肉じゃが以外にも一品作っていたじゃないか。そういうのが妻としての努めなんじゃないの?」と反論します。
すると義父が目を丸くして「ちょっと待ってくれ。俺は別にもう一品作ってくれと言ったつもりはないぞ。作ってもらった料理はいつもありがたく食べてる」と反論。義母はため息をつくと、「お父さんもあんたも、親子そろって作った人への敬意がないのね。『おいしいけど、パンチが足りない』とか『もっとガッツリ食べたい』とか言われたらもう一品作らなきゃって思うでしょう! 本当はすごく面倒だったんだから」と言います。
義父はその発言に心当たりがあったのか、しゅんとして「ただの感想のつもりで、無理をさせているなんて思ってもみなかった。すまなかった」と義母に謝罪しました。夫が「義母が義父のために尽くしていた」と思っていた光景は、義両親のコミュニケーション不足で起きた勘違いだったのです。
義父は夫に「『妻は夫に尽くすべき』みたいな考えはやめなさい。私は母さんには勘違いさせてしまったけど……。奥さん、共働きなのに料理作ってくれてるんだろう。文句言う前に感謝しなさい」と言います。しゅんとしょげた夫に、長男が「パパ、肉じゃが、ご飯と食べてもおいしいよ」と話しました。夫は「ごめん。今まで」と、私の方を見て謝罪したのです。
それ以降夫は、料理を作ると感謝を言葉にしてくれるようになりました。私は今まで以上に自信を持って料理ができるようになり、家庭内での食事作りのプレッシャーが少し和らぎました。
何気ない感想を伝えたつもりが、相手にとってプレッシャーになりうることを、義両親のやり取りで学べました。料理の価値は、誰かの勝手な定義や「米に合うか」といった基準で決まるものではないと思います。作った人への感謝と敬意を忘れず、私も日々の言葉選びは気をつけようと思った出来事でした。
著者:桂ゆかり/ライター。働く乗り物が大好きな5歳の男の子と、ティッシュをひらひらして遊ぶのが大好きな3歳の女の子を育てるママ。夫は夜勤のため、月〜土曜日までワンオペの日々を過ごしている。
作画:sawako
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)