そんな折、義父に誘われて家族旅行へ行くことに。親戚付き合いも良好で、義父とも仲が良い私に対し、義母は「世間体のために誘われただけよ」と吐き捨てます。そして旅行当日……。
悲しい家族旅行
宿に着き、義父と夫がチェックインしに行きました。すると義母に「ちょっと景色でも見に行かない? 2人きりで話したいことがあるの」と誘われたのです。何やらよからぬ予感がしましたが、私は義母に促されるまま車へ。義母が運転すると言うので私は助手席に乗り込みました。
車を走らせ向かった先は、宿の近くの観光スポットになっている見晴台がある山。トイレとベンチ、そして自動販売機がある場所でした。車を降り義母と2人で見晴台からの景色を眺めると、義母は「ここからの景色が見たかったの」と言います。
特にそれ以上何かを話すこともなく、「日も落ちてきたしそろそろ戻りましょうか」と言われ、「話とは何ですか?」と私は聞きました。すると義母は「飲み物買ってきてくれない? 帰りの車で話すわ」と言って、先に車に戻ったのです。
しかし、私が自動販売機で飲み物を購入していると、義母が車を走らせ、開けた窓から「あんたはここに捨てていくわ!」と言い、走り去っていったのです。突然、置き去りにされた私は、ただただその場に立ち尽くしました。
スマホは手元にあったので、ひとまず夫に連絡して、事情を伝えた私。そして義母にも連絡しました。すると……。
「宿は家族の分だけしか予約してないの♡」
「あんたは家族じゃないから」
と返信が来ましたが、そんなはずはありません。宿を予約したのは義父で、私がこの場所に来る前にはチェックインもしていました。
私はあきれて言い返す気にもなれませんでした。幸い、宿から車で10分ほどの場所だったため、私は歩いて下山することに。日も落ちてしまい、暗い山道に怯えながら歩いていると、前から1台の車がやってきました。
車に乗っていたのは夫。夫は私からの連絡を受け、宿の車を借りて迎えにきてくれたのです。私は車に乗り込み、詳細を話すと夫は見たことがないほどに激怒していました。
すでに義父にも事情を説明してあるようで、義父も大激怒しているとのこと。義母は私を迎えに行かせないためなのか、まだ宿には戻っていないとのことでした。
家族じゃないのは私ではなく…
夫の運転する車で宿に戻った私は、部屋で待っていた義父にも詳細を話しました。改めて私の話を聞いた夫と義父は、震えながら必死に怒りを抑えている。そんな表情でした。そして、義母と縁を切ると断言。義父は離婚、夫は親子の縁を切ることを決意したのです。
「家族じゃないのは、お義母さんのほうみたいですよ?」
2人の決意を聞き、私はまだ宿に戻っていなかった義母に先ほどの返信をしました。
「え?」
義母からはすぐに動揺したような返信が。「どういうことよ? あんたまさか、もう宿に戻ったの?」と、私の状況を探ってくる義母。私は「早く戻られたほうがよさそうですよ?」とだけ返し、義母を待ちました。
大慌てで戻ってきた義母は、私の姿を見るなり「自力で戻ってくるなんて野生児のような嫁で恥ずかしいわ」と。まだ自分の立場がまずいことになっていることに気づいていないようで、私を嘲笑。しかし、そこに夫が割って入りました。
「母さんのほうがよっぽど恥ずかしいことをしている。人間として最低だ」
義母はこれまで、夫の元カノを引き合いに出しては「彼女なら完璧だった」と私をバカにし続けてきました。しかし、夫はその場で義母が信じる「理想の元カノ」の真実を暴露したのです。
実は、その元カノは複数の男性と交際しており、夫は「家族が病気だ」などと騙され、貯金のほとんどを貢がされた挙句、一方的に捨てられていたのです。当時の夫は心身ともにボロボロで、食事も喉を通らないほど衰弱していました。そんな夫を支え、立ち直るまで寄り添い続けたのが、共通の知人の紹介で出会った私でした。
「俺がどん底にいたとき、救ってくれたのは彼女だ。母さんが復縁を望んでいる女は、俺の人生を壊した最悪の女なんだよ!」
夫の言葉に、義母は顔を青くして絶句していました。
義母がたどり着いた先は…
さらに追い打ちをかけたのは、義父の決断でした。義母は見栄っ張りで浪費癖があり、義父が貯めていた老後資金に無断で手をつけた過去があります。義父は一度は許したものの、今回の「嫁置き去り事件」で、義母の身勝手さと冷酷さに愛想を尽かしたのです。
「悪ふざけが過ぎただけよ」と苦しい言い訳をする義母に対し、夫は「一歩間違えれば命に関わっていた」と一喝。警察への相談も辞さない構えを見せると、義母は震え上がりました。
結果、義父はその場で離婚を宣言。旅行から戻り、弁護士を介して話し合いが行われ、義父母はあの旅行から約1カ月後に離婚。財産分与もしましたが、義父が老後のために貯めていた資金は義母によってほとんど使い尽くされていたため、義母は一文なし同然の状態に。親戚が所有する山あいの古い空き家で、ひとりで暮らすことになりました。私を山に捨てた義母が、今度は自分が山での不自由な生活を余儀なくされるという、皮肉な結末を迎えたのです。
一方私たち夫婦と義父は、3人で平穏に暮らしています。義母からのストレスがなくなったためか私は子宝にも恵まれ、今は夫と義父と新しい命の誕生を心待ちに、幸せな日々を過ごしています。
◇ ◇ ◇
どんなに相手が気に入らないからといって、身体的な危険にさらすような行為は決して許されることではありません。家族という近い関係だからこそ、礼節を忘れず、相手を尊重する姿勢が不可欠です。理不尽な目に遭ったとき、感情的にやり返すのではなく、事実に基づいた誠実な対応で自分や大切な人を守れる強さを持ちたいですね。
【取材時期:2026年1月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。