義母に貯金はないはずです。ホストクラブに通っているとなれば、年金も私たちの仕送りも、手元に届いたそばから消えているに違いありません。「私はケチケチせずお金を使う主義だから、手元には残さないの」と豪語する義母の先行きが、急に恐ろしくなりました。
私は努めて冷静に「せめてパートを始めてはどうか」「今の生活を改めてほしい」と伝えました。しかし、義母の口から飛び出したのは、感謝の欠片もない言葉……。
「10万ぽっちの仕送りで偉そうにしないで。そんなに口を出したいなら、もっと余裕のある金額を送ってからにしたらどう?」
これまで自分たちの将来を削り、節約して仕送りをしてきました。それを「10万ぽっち」と切り捨てられ、とても悲しい気持ちになったのです。私はその場で、5年続けた仕送りを打ち切ることにしました。
崩壊した家計
仕送りをやめた最初の月。義母から「入金が遅れている」と催促の連絡が入りました。
実は仕送りをやめたのにはもうひとつ理由があります。私は冷静に事実を告げました。「今うちにはお金がないんです。夫が投資に失敗して、多額の損失を出してしまって……」
自分たちの生活すら逼迫したわが家には、義母に仕送りをする余裕など1円もありません。貯金もなく、カードの支払いに追われる義母はパニックに陥りました。
そして態度を一変させ、「どうにか仕送りをしてほしい」とすがり付いてきたのです。もちろん丁重にお断りしました。
その夜、夫から「仕送りを続けてほしい」と相談されました。夫は私に内緒で家計に手を出し大きな損失を出したのに、まったく反省していない様子。
夫は「夫婦なんだから、ここは協力して乗り切ろう。母さんのことも、二人で頑張ればなんとかなるって!」と、楽観的な言葉を並べるばかり。しかし、私には夫と一緒に家計を立て直す気力も、義母を支え続ける義理も、もう一滴すら残っていなかったのです。
嫉妬が生んだ暴言と浪費
仕送りを要求する義母は震える声で謝罪し、無駄遣いや私に暴言を吐いた理由を打ち明けました。義母の心の奥底にあったのは、高学歴で自立している私への激しい嫉妬。自分と比較しては、お金を浪費し、私を貶めることでしか自尊心を保てなかったというのです。
その身勝手すぎる告白を聞いても、私の心は動きませんでした。それに、かつて夫も義母といっしょになって私の学歴を「かわいげがない」と笑っていたことを思い出しました。
「嫉妬していたから何をしても許されると思っているんですか? もう付き合いきれません!」
私は離婚を決意しました。身勝手な投資で家計を破綻させ、挙句の果てに「家族」という言葉を盾にして甘え続ける夫。そんな彼に注ぐ愛情は、もう枯れ果てていました。
何より、この先もずっと理不尽な主張をする義母を支え、振り回される人生を送ることなど、到底考えられなかったのです。
自業自得の果て
数日後、義母から泣きながら電話がありました。どうやら、私に離婚を突きつけられたことで生活基盤を失ってパニックになった夫が義母の家に乗り込み「この家を売って金の足しにする」と言ったそう。
その家は、義父の死後、夫と義母が相続した共有名義の家でした。にもかかわらず、夫は一方的に「売って金にする」と言い出したようです。
住む場所さえ失いかねない状況に、義母はなりふり構わず私にすがり付いてきました。
「この年で家を追い出されたら、路頭に迷ってしまうわ!」という悲鳴のような叫び。しかし、それは私が何度も警告し、彼女が鼻で笑い飛ばしてきた未来そのものでした。私は、断固とした拒絶を返しました。
「もう人に頼らず、自分の力でなんとかしてみたらどうですか」
私たちに依存し続けた人生のツケは、あまりにも重いものでした。義母は最後まで「今更生き方は変えられない」と現実逃避を続けていましたが、私にはもう関係のないことです。
私は正式に離婚し、あの親子とは一切の連絡を絶ちました。
断ち切った先に……
しばらくして元義実家の前を通ると、そこにはすでに知らないアパートが建っていました。今、どこでどうしているか、私にはわかりません。
私は今、自分の収入をすべて自分のためだけに使い、誰にも依存しない・依存されない生活を謳歌しています。自立して生きる力を持っていることが、どれほど自分を強くしてくれるか——。あの親子が教えてくれた唯一の教訓を胸に、私は前を向いて歩いています。
◇ ◇ ◇
本来、家族とは互いに尊重し合い、困難なときこそ支え合うべき存在です。しかし、その善意がいつの間にか「当然の権利」として搾取に変わってしまったのなら、自分自身の人生を守るために立ち止まるべきかもしれません。
「家族だから」という言葉は、時に重い足枷となります。自分を犠牲にし続けるのではなく、勇気を持って関係を断ち切る。それもまた、新しい幸せを自らの手で掴み取るための、真っ当な選択肢のひとつなのでしょう。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。