凍り付いた義母の言葉
結婚して2年、息子が1歳を迎えて少しずつ歩き始めたころのことです。
その日は義弟夫婦とともに義実家に招かれ、みんなで夕食を囲んでいました。そんな和やかな雰囲気の中、義母が何気ない様子で口にした言葉に、私は一瞬で凍りついてしまったのです。
「やっぱりさ、ちゃんとした家庭で育つと、いろいろと違うわよね~」
義母は笑いながら言っていましたが、その視線ははっきりと私に向けられていました。義父は市役所勤めで、義母も元公務員。その場には、県庁勤めの義弟の妻である義妹も同席していました。彼女は中学校の先生をしています。
私は片親の家庭で育ち、今はドラッグストアでパートとして働いています。会話の端々から「ちゃんとした家柄」を称賛する空気が広がり、話題は自然と公務員の仕事や教育の話へ流れていったのです。
「今の時代、やっぱり公務員が一番の正解よ。お父さんもそうだったし、〇〇さん(義妹)もそう。安定に勝るものはないわよね。この子も、今からしっかり教育して、将来は公務員の試験を受けさせれば一生安泰よ」
少し離れたリビングの布団では、1歳になったばかりの息子がすやすやと眠っています。
「孫にはさ、ちゃんとした環境を用意してあげたいじゃない。変な苦労はさせたくないし」
眠っている息子を見つめながら、その言葉が私の生い立ちや今の生活を遠回しに否定されているようで、胸がギュッと締め付けられました。波風を立てないよう、私はただ、引きつった笑顔で受け流すことしかできませんでした。
帰り道、隣を歩く夫は、私のショックに気づく様子もなくのんびりした表情をしています。何も言い返せなかった惨めさと、一番の味方であってほしい夫との温度差を感じて余計に落ち込んでしまいました。
私の気持ちを夫に打ち明けた結果
それから3日後、ずっとモヤモヤを抱えていた私は、あのとき感じた悲しさを夫に打ち明けることにしたのです。夫は「そんなふうに聞こえるなんて思わなかった」と驚いた表情を見せました。そんな彼の反応に戸惑いつつ、私は自分の中にある違和感の正体に気づいたのです。
義母は、公務員という肩書きや安定こそが人生の正解だと信じて疑っていないのでしょう。まだ1歳の息子の将来を、自分の価値観だけで勝手に決めつけ、型にはめようとしている。私に向けられた否定の言葉は、そのまま息子に対する「こうあるべき」というレールの押し付けでもあったのです。
息子の未来が、本人の意思とは関係なく勝手に型にはめられていく。その一方的な重苦しさが、私にはたまらなく息苦しかったのだとわかりました。その息苦しさを正直に伝えると、夫も理解してくれた様子でした。
公務員という職業自体は立派で、安定しているかもしれない。けれど、将来どの道を選ぶかは息子が決めることで、親である私たちはその選択肢を広げてあげる存在でありたい。そんな当たり前で大切なことを、あらためて夫と確認し合えた気がします。
義母の言葉には傷つきましたが、あの出来事があったからこそ、夫と話し合うことができて、私たちは親として同じ方向を向くことができたのだと思っています。
著者:宮原柚亜/40代女性/結婚4年目、3歳の息子の母。義両親も義弟夫婦も公務員。自身はドラッグストアにパート勤務。
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)
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