「この記事はこんな人におすすめ」
・更年期症状について、受診のタイミングや検査内容を知りたい方
・更年期症状の具体的な治療法が知りたい方
・更年期症状の治療をおこなう上でのリスクが知りたい方
のぼせ、ほてり、発汗の主な原因は?
エストロゲンの分泌低下により自律神経が乱れるため
閉経前後の更年期に入ると、卵巣機能の低下、つまりエストロゲンの分泌が低下します。脳は一生懸命に刺激を出すのですが、卵巣からのエストロゲンの分泌量には波があり、うまく調整されません。いわゆる“ゆらぎ期”という、ホルモンバランスが乱れた状態になります。
のぼせ、ほてり、発汗はエストロゲン減少により、血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経が乱れることで起こります。更年期の女性の6割程度が経験するといわれ、そのうち日常生活に支障を来すほど重症になるのは1割程度といわれています。
医療機関への受診の目安は?
日常生活に支障を来す場合は自分の気持ち最優先で

症状としては突然2~4分間持続する熱感と発汗を自覚し、脈拍も早くなります。ほてりや発汗は顔をはじめ、頭部、首から胸に広がります。また、突然体がカーッと熱くなったり、急に顔が紅潮したり、涼しいのに汗が止まらないなどの症状なども見られます。
初めは戸惑う症状ですが、許容できる範囲内なら様子を見ても構いません。ただ、それらの症状が日常生活に支障を来すようなら気軽に婦人科で相談をしましょう。不快さやつらさは本人の感覚ですし、仕事や環境によっても感じ方は変わります。我慢せずに自分の気持ちを最優先して受診を決めましょう。
婦人科の受診でわかることは?
検査結果次第では内科の受診を勧められることも

のぼせ、ほてり、発汗といえば更年期症状の代表ともいうべき症状ですが、甲状腺疾患のサインであることもあります。
甲状腺機能異常は更年期世代の女性に多い疾患です。甲状腺の機能が亢進するとバセドウ病、低下すると橋本病といわれます。どちらも疲れやすい、だるいといった症状になりますが、バセドウ病は特に熱感、発汗を伴います。
通常、婦人科では女性ホルモンの採血ともに甲状腺ホルモンの検査もおこないます。もし異常があれば内科の受診が勧められます。
具体的な治療例2つとセルフケア

1.ホルモン補充療法(HRT)
2.漢方療法
3.セルフケア「自律訓練法」
【1】ホルモン補充療法
治療法は、ホルモン補充療法(HRT)をはじめ、漢方薬や安定剤などさまざまです。医師はそれぞれの症状に合わせて治療をおこないます。
ホルモン補充療法はエストロゲンを体に補充する治療法で、内服薬・貼り薬・ジェル状の塗り薬があります。更年期症状の中でも、のぼせ、ほてり、発汗といった症状には特に有効で、開始してから2週間ほどで効果が出始めます。
気になる乳がんのリスクについてですが、ガイドラインでは、「5年未満の使用であれば、乳がんの発症リスクはほとんど上昇しない」とされています。そのため、まずは2~5年程度を目安に治療をおこない、その後は医師と相談しながら継続を検討するのが一般的です。「5年で必ずやめなければならない」というわけではなく、生活の質(QOL)の改善効果とリスクを天秤にかけながら、一人ひとりに合わせた判断をしています。
また、長期間(5年以上)継続した場合のリスクについても、実は「肥満」や「習慣的な飲酒」による発がんリスクと同程度、あるいはそれよりも低いことが近年の研究で明らかになっています。過度に恐れる必要はありませんが、安心感を持って治療を続けるために、定期的な乳がん検診は必ずセットでおこなうようにしましょう。
【2】漢方療法
また、症状によっては漢方療法も有効です。代表的な漢方は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などがあります。漢方は2週間から1カ月使用して効果を確認し、ラクになった感じがなければ処方内容を変更して、本人に合った漢方薬を見つけていきます。
【3】セルフケア「自律訓練法」

セルフケアの一つとして、自律訓練法があります。薬物治療ほどの効果は期待できませんが、これをおこなうことで自己コントロール力が身につき、症状緩和につながることもあります。
●静かに落ち着ける場所で椅子に座るか、あお向けで横になり目を閉じます。下の7項目を唱えながら、その状態になるように気持ちを向けます。
①気持ちがとても落ち着いている。
②手足が重い。
③手足が温かい。
④心臓が静かに打っている。
⑤呼吸がラクになっている。
⑥おなかが温かい。
⑦額が涼しい。
●終了のための消去動作をおこないます。
①手足が軽い。
②手足の温かさが引いてくる。
③おなかの温かさが引いてくる。
④額の涼しさが引いてくる。
⑤気持ちがとても落ち着いている。
●1回5分以内で、1日2~3回おこないます。
まとめ
のぼせ、ほてり、発汗。こうした症状は「更年期だから仕方ない」と我慢してしまいがちですが、実はその裏に甲状腺の病気が隠れていることもあります。
今回の取材を通して見えてきたのは、「自分の不快感を後回しにしない」ことの大切さです。受診の目安は、他人との比較ではなく「自分がつらいかどうか」。治療の選択肢はHRT(ホルモン補充療法)や漢方、セルフケアと幅広く、過度にリスクを恐れる必要もありません。
治療を始める際は「定期的な乳がん検診」を習慣にすることで、健康管理への意識も自然と高まります。不調を我慢して過ごすより、専門医の力を借りて、心身ともに軽やかな毎日を取り戻しましょう。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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取材・文/アキモトスズ
「年齢より若いね~」と言われたこともあったけど、今や白髪、老眼、集中力の低下に悩む私はまさに更年期ど真ん中。食事と運動とマッサージを中心に健康と若さのキープ法を日々考え中。