妊娠中の妻に「太り過ぎ」と言い放つ夫
ある日、仕事中の夫から連絡が来ました。私は軽い運動として、近所を散歩していたのですが、それを話した途端、夫の反応は想像と違いました。
「体型維持ってやつ?」と軽く流されたかと思えば、次に返ってきたのは、私のおなかを笑うような言葉。妊娠しておなかが大きくなるのは当たり前なのに、夫は「最近腹が出て太り過ぎ」「体に悪い」と決めつけ、私の説明には一切耳を傾けませんでした。
医師からは何も言われていないのでダイエットは必要ないこと、妊娠中は激しいダイエットは避けるべきことを伝えました。けれど夫は、「言い訳」「怠慢」「痩せてないと一緒に歩くのが恥ずかしい」と、心を折る言葉ばかりを重ねてきたのです。
“夫のダイエット管理”が暴走し始めて…
その日から、夫は私の食事と運動を“管理”し始めました。妊婦の体に必要なのは休息と栄養なのに、私の生活は「減らすこと」ばかりになっていきました。「もうやめたい」と訴えても、夫は「子どもを理由にするのは卑怯」と笑うだけ。健診でダイエットは必要ないと言われたことを伝えても、嘘だと決めつけられました。
そしてついには、「おい横綱!これ以上太るなら本気で離婚」とまで言われたのです。その夜、私は限界でした。
夫にとって私は、“妊婦”でも“妻”でもなく、ただ「痩せていないと価値がない存在」になっている――そう思った瞬間、胸の奥が冷たくなりました。翌日は夫が休みで、「私の運動をチェックするつもりだ」と言います。私の体調も、おなかの子のことも、何ひとつ気にしないまま。
私は娘を連れて、ふだんからよくしてくれている義母のもとへ逃げました。恥ずかしいとか、情けないとか、そんな気持ちよりも、「このままでは本当に危ない」という恐怖が勝っていたのです。
事情を打ち明けた私に、義母は…
義母に事情を話すと、義母は静かに、でも確実に怒っていました。そして、夫に連絡。妊娠中に無茶なダイエットを強要することの危険性を突きつけ、「離婚しなさい。嫁と孫はうちで面倒を見る」と言い切ったのです。
夫は最初、状況を飲み込めず逆ギレしていました。けれど義母は一歩も引きませんでした。「おなかが出ているのは太ったからじゃない。妊娠しているから」「子どもの命より、好みを優先するなんて論外」「これ以上連絡してこないで」
母親として、義母は息子の非を真正面から認め、私と子どもを守る選択をしてくれました。義母の家で過ごしていた数日後、私は出産しました。
離婚後、夫の体型に起きた“皮肉な変化”
出産後、私は夫に連絡しました。けれどそれは、夫婦の会話ではなく、「離婚する相手への報告」でした。夫は「父親なのになんで事後報告なんだ」と怒りましたが、私にとっては逆でした。あれだけ子どもの危険を訴えても笑い、私の体を侮辱し続けた人に、いまさら頼る理由などあるでしょうか。
私は淡々と伝えました。あなたが同意しなくても、離婚は進められること。慰謝料と養育費の話も含め、必要なら法的に対応すること。そして何より――もう夫ヅラをしないでほしい、ということでした。
最終的に夫は離婚に同意し、慰謝料と養育費を支払うことになりました。私は子ども2人と暮らす基盤が整うまで、義母のもとで生活することに。義母は「今回の原因は息子にある」と受け入れてくれ、私はようやく心から呼吸できる日々を取り戻しました。
一方の夫は、私と子どもだけでなく、義母からも距離を置かれました。ストレスなのか、暴飲暴食で体型が大きく変わったと聞きます。――あのとき私に向けた言葉は、結局、自分自身に返っていったのかもしれません。
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妊娠中の体型変化は自然なもので、何より優先すべきは母体と赤ちゃんの安全です。周囲の言葉がプレッシャーになったり、無理な管理や強要が続いたりする場合は、ひとりで抱え込まず、医師や家族など第三者に早めに相談したいですね。守るべきものは“見た目”ではなく、命と心。そう気づける環境を選ぶことも、大切な一歩です。
【取材時期:2026年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。