夫は独身生活が長かったせいか、私に何の相談もなく高価な買い物をするなど、勝手にいろいろな物を買ってきてしまう人でした。
将来的にはマンションの購入や、出産・子育てにお金がかかる時期が来ると考えていましたし、本格的に貯金を始めたかったのですが、なかなかうまくいかなかったのです。
信じられない衝動買い
ある日私が帰宅すると、すでに夫は帰宅していました。「嫌な予感がする……」。そう思った瞬間、私の目の前に信じられない光景が飛び込んできました。なんと、夫が子犬を衝動買いしてしまっていたのです。
「運命の出会いをした」と語る夫でしたが、私に相談もなく、やすやすと命を預かる決断をしてしまったことに違和感を覚えました。私は小さいときから動物保護に励む両親の姿を見て育ったので、誰よりペットを飼う大変さや責任の重さを理解しているつもりでした。だからこそ神経質に考えたのかもしれませんが、それを差し引いても夫の行動は軽率に思えてなりませんでした。
しかし「自分がきちんと世話をする」と夫が強く主張したので、信じてみることに。私も動物が好きなので、子犬のあまりのかわいさに、つい情に流されてしまう部分もあったのです。
夫が張り切ってお世話する様子を見てやや安心していたのですが、それも長くは続きませんでした。数週間ですっかり飽きてしまった夫は、だんだんとお世話を私に押し付けるようになりました。
無責任な夫の態度に、私はイライラが募るばかり……。
夫の本性に絶望した日
急速に子犬への関心を失っていった夫は、挙句の果てには「鳴き声がうるさい」「言うことを聞かないからかわいくない」など文句を言い出しました。その無責任な様子を見て、夫にとって動物は命ではなく、自分の退屈を紛らわせるための道具に過ぎないのではないか……そんな疑念が確信へと変わっていったのです。
3カ月も経つと、結局お世話は完全に私任せになってしまいました。
そんなある日、帰宅するとケージがもぬけの殻になっていて、私はあぜんとしました。なんと、夫は独断で知り合いに子犬を譲ってしまったと言うのです。そして夫が放った言葉に、私の怒りは爆発しました。
「俺たちに必要だったのは、ペットじゃなくて子どもだと気づいたんだよ。だから必要のない子犬は手放した」
冗談じゃありません。命を物のように扱い、自分の都合で手放すような人が、まともな子育てをできるとは到底思えませんでした。
「必要なくなったら捨てる」……それならば、私も夫を捨てるまでです。この先子どもができても、自分の思い通りにならなければ私に丸投げするか、見捨てるのでしょう。そう確信した瞬間、私の人生にこの夫は必要ないと心の底から思いました。
捨てなくていい生活へ
私は込み上げる怒りを抑え、冷静を装って「最後に一度だけ会ってお別れを言いたいから」冷静を装って、譲った相手の連絡先を聞き出しました。そして、すぐさま家を出て子犬を返してもらいに向かったのです。
夫が「いらなくなったから引き取ってくれ」と半ば強引に押し付けたようで、先方も困惑していたようです。事情を話すとすぐに理解してくださり、無事に子犬を取り戻すことができました。
私はそのまま子犬と一緒に実家に戻り、今は幸せな生活を送っています。動物が大好きな両親も、孫ができたかのように喜んでくれました。
もちろん、その後、夫とは離婚しました。自分に都合のいい嘘をついて離婚原因を周囲に言いふらしていた夫でしたが、「身勝手な理由で飼い犬を人に押し付けた」という真実が広まると、共通の知人たちからも白い目で見られ、すっかり孤立してしまったようです。
もともとあった浪費癖も直っておらず、ひとりになってからはさらに金銭管理ができなくなり、今は膨らんだ借金の返済に苦しんでいると聞きました。借金は、いらなくなっても勝手に捨てることはできません。精いっぱい、自業自得な返済生活を送ってほしいものです。
自分の都合で命を切り捨てるような人とは、この先どんな幸せも築けません。あのとき、勇気を出して夫との縁を切って本当によかったと思っています。これからは大切な家族である愛犬を二度と離さず、穏やかな毎日を過ごしていきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。