階下の住人の鳴りやまない苦情
娘が1歳を迎えたころ、つかまり立ちや伝い歩きができるようになりました。一生懸命に足を踏み出す姿が微笑ましく、私はその健やかな成長をただ喜んでいたのです。
そんなある日のこと、突然インターホンが鳴りました。扉を開けると、そこには厳しい表情をした下の階の住人の方が立っていました。「毎日ドンドン響いて、眠れないんです」という強い口調の言葉に、私は思わず言葉を失いました。誠意を込めて謝りましたが、相手の方の怒りは想像以上に深く、閉まったドアの前で、胸が苦しくなりました。
それからは、娘の足音が気になって仕方がありません。急いでジョイントマットを買い足して敷き詰め、娘が歩こうとするたびに、反射的に「ダメ!」と強い声で止めてしまいます。けれど、1歳の子に加減を教えるのは至難の業です。「また苦情が来るのではないか」と、家の中にいても心が休まらない日々が続きました。娘ののびのびとした動きを制限してしまう自分にも、自己嫌悪を感じるようになっていたのです。
このままではいけない。そう思い直した私は、もう一度、階下の方を訪ねることにしました。今度はただ謝るだけでなく、自分なりに取り組んでいる対策を正直にお伝えしようと考えたのです。娘を連れて、ささやかな菓子折りを手にドアを叩きました。
「何度も申し訳ありません。マットを二重にするなど対策はしているのですが、まだ音が漏れてしまっているようで……。ご迷惑をおかけして、本当に心苦しく思っています」 緊張しながらそう伝えると、相手の方は最初こそ困惑していましたが、私の必死な様子と、隣でキョトンとしている娘の姿を見て、表情が和らいできました。
「実は、夜勤明けで寝ている時間に音が響くのが、少しつらかったんです」 相手の方も、ご自身の事情を静かに話してくださいました。顔を合わせて話したことで、相手がどんな人かがわかり、より配慮しなければと思いました。相手もまた、こちらが対策していることを理解してくれて、お互いの理解が深まり、わだかまりが少し解けた気がしました。
この経験を通して、集合住宅で暮らす難しさと、それ以上に向き合うことの大切さを身に染みて感じました。相手を避けるのではなく、誠意に向き合うこと。それが、ご近所と良い関係を築くための大切な一歩だったのだと、今は感じています。
著者:高橋美穂/30代女性/1歳の娘を育てる母です。事務のパートをしながら、子育てとの両立に奮闘しています。初めての育児で戸惑うことも多いですが、毎日成長を感じています。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)
※AI生成画像を使用しています
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