ハイスペグループに憧れるママ友
児童館で知り合った当初、そのママ友とはお互いにスウェットやデニムで公園に行くような、等身大の付き合いをしていました。しかし、彼女はある時期から「ハイスペックでセレブな雰囲気のママ友グループ」に執着し始め、性格が一変しました。
きっかけは、彼女が熱心に読んでいた「自称・セレブママ」のSNSの投稿でした。そこには「このグループのママたちだけで共有している、有名幼稚園の非公開の面接対策資料がある」「一般には告知されないブランド展示会の招待枠を回し合っている」といった内容が書かれていたのです。彼女は「この輪に入れば、子どもの将来も自分のステータスも安泰だ」と盲信してしまいました。
私は「SNSの情報なんて、どこまで本当かわからないよ」と忠告しましたが、彼女は聞く耳を持ちません。フリマサイトで買った中古のブランド品で身を固め、あたかも自分も高級住宅街に住むセレブママのような雰囲気を醸し出し始めました。児童館にも来なくなり、SNSには自分や子どものファッションスタイルや、カフェで優雅にお茶をする様子が投稿されるように。私はそのママ友と、しばらく距離を置くようになりました。
そんなある日、久しぶりに2人でお茶をしないかとお誘いが。指定されたのはおしゃれなカフェ。スカートを履き、小ぶりなアクセサリーをつけ、私なりに小ぎれいなスタイルで向かったつもりでしたが、カフェに登場した彼女はというと、高級ブランドのコートとバッグ、大ぶりなアクセサリーをつけ、ヒールをカツカツと鳴らしています。そして会って開口一番に、彼女は「相変わらず芋っぽいね。私みたいに自分を磨こうと思わないの?」と鼻で笑いました。昔は一緒にカジュアルな服を選び「動きやすい格好が一番だよね」なんて言いながら楽しんでいた仲なのに、「今の私はあなたとは住む世界が違う」と言わんばかりの態度に、私は大きな溝を感じて悲しくなりました。
さらに彼女は、ふだん一緒にいるセレブママたちのことを愚痴り始めます。「あのグループの人たち、復讐劇のドラマの話ばかりで本当に低レベル。私、忙しくてドラマなんて見てる暇ないのに、話に入れないとあいつらすぐ仲間外れにするから面倒くさいのよね」と、言うのです。そして「ねえ、あなたみたいな暇人なら内容知ってるでしょ? 手っ取り早く話合わせる方法ないの?」と、私を情報の仕入れ先として利用しようとしてきました。
デリカシーのない発言にあきれつつも、私が「最近はAIで先にあらすじを要約させて、効率よくドラマを観る人も多いらしいよ。あっ、でもAIは……」と言いかけた瞬間、彼女は「えっそうなの!? 自分で全部ドラマ見返さないといけないと思ってたからそれ最高じゃん!」と興奮気味に席を立ちます。「いや、でもね……」と続きを話そうとする私を遮って「今日はもう用済み! 持つべきは暇人の友だちだね!」と失礼極まりない発言と自分のコーヒー代を残して、慌ただしく帰ってしまいました。
そして数日後、彼女から怒り狂ったメッセージが届いたのです。「あんたがAIがいいとか言ったせいで、ドラマの内容が全然違って恥かいたんだけど! 芋っぽいのは服装だけにしてよね!」と、完全に逆ギレされた私。
詳しく聞けば、AIがドラマのタイトルにある漢字だけを見て「お料理ドラマ」だと勘違いし、『旬の食材を使った創作料理で人々を魅了する、ハートフルなグルメ物語』という的外れな要約を出したのだといいます。それを彼女はドヤ顔で、「あのシーンの隠し味、何だったんだろうね? 私もあんな風に、料理で人を幸せにできるママになりたいな♡」と優雅に発言したそうなのです。しかし実際は、主人公が復讐相手の食事に嫌がらせをするシーンだったため、周囲は絶句。グループから完全に孤立してしまったとのことでした。
「あんたみたいな低能な友だちを信じた私がバカだった!」と言いたい放題の彼女に、私はさすがに我慢の限界。「AIの要約は鵜呑みにしちゃダメだよって言おうとしたのに、人の話を聞かずに走り出すからでしょ。自分で努力せず、人から情報を得て近道しようとするからそうなるんだよ。上辺だけ飾っても、中身が伴っていないからボロが出るんじゃない?」と返信。すると彼女からは「そんなの、先に言わないあんたが悪い!」と苦しい反論がきましたが、私はそれ以降は無視。以来彼女との連絡は断っています。
いくらハイスペックなセレブ風を装っても、中身が伴っていないのでは誰とも本当の関係は築けないのだと、最後に自分で証明した形となりました。縁が切れた今は、心からスッキリしています。
見栄や虚勢で自分を大きく見せようとしても、中身が伴っていなければ、結局はどこかで馬脚を露わすことになると、ママ友を見ていて学んだ今回。等身大の自分を受け入れ、自分の足で歩くことこそが、人間関係を健全に保つために大切なのだと改めて思った出来事でした。
著者:松原櫻子/40代・ライター。2歳の娘を育てる母。イヤイヤの地雷を踏まないように、日々忍者のごとくそろりそろりと歩いている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)