こんにちは、保育士の中田馨です。1歳を過ぎたころから少しずつ取り入れていきたい生活習慣のひとつが「お片付け」。言葉の理解がまだ未発達な1歳の子どもには、「片付けて」と説明しても伝わりません。
毎日使うおもちゃを自分で片付けられるようになるには、何がどこにあるか分かりやすい環境づくりと、片付けるのが楽しいと思える雰囲気づくりをすることが必要です。今回は、お片付けがラクに楽しくなるように、1歳からできるお片付けのコツと保育所のおもちゃ棚の工夫を紹介します。
片付けやすい環境をつくる
まずは、子どもが片付けしやすい環境をつくります。そのためには「何がどこにあるかを明確にする」ことが大切です。
■絵本やおもちゃの数を適量にする
よく取り出して遊ぶおもちゃを厳選します。今使わないおもちゃや時々しか使わないおもちゃはしまいます。1~2カ月に1回、発達や興味関心に合わせて絵本とおもちゃの見直しをして入れ替えます。
■おもちゃを種類分けする
全てのおもちゃを一つの箱にごちゃまぜで入れるのではなく、「車は車」「おままごとセットはおままごとセット」といったように種類に分けて収納します。そうすることで、子どもがどこに何を片付ければいいかが分かります。
■子どもの手の届く場所に収納
子どもが自分で収納できる高さに、おもちゃの箱を置きましょう。箱の中や本棚は、詰め込みすぎずに入れ、少し余裕を持つのがポイントです。
楽しく自分で片付けができるようになるステップ
子どもが楽しく片付けをするために、親ができることはまだまだあります。
1. 遊びにする
お片付けを教え込むというよりは、普段の遊びのひとつとして取り入れます。運動会のかけっこのBGMを口ずさみながら「よーいどん!」と競争してもいいですし、ブロックを色分けして入れてもいいですね。子どもがやる気になるような声かけをしてみましょう。
2. 子どものペースに合わせる
ゆっくり片付けたり、片付けをしている途中で遊びだしたりと、子どもの時間は子どものペースで進んでいます。子どものペースに合わせるためにも、早めに「片付けしよう」と声かけをします。
3. できたら褒める
片付けられたら「上手にできたね!」と、めいいっぱい褒めてあげましょう。褒めてもらうことで子どもの自信につながります。
4. 全て片付けなくてもOK
全てきれいになるまでやってほしい! という気持ちはわかりますが、まずは、おもちゃ1つを箱に入れるところからでOKです。大切なのは、片付けの時間を少しでもいいので取り入れ、生活習慣にしていくことです。最初から全て片付けることに重点を置くと、遊びではなくなってしまいます。
保育所での収納方法
では具体的に、私の保育所のおもちゃの棚を見てみましょう。
絵本収納
階段下のデッドスペースを利用した本棚です。1~2歳の子どもは、絵本を大人のように差し込む形で本棚へ片付けることができません。普段子どもが自由に読める本は、写真のように収納すると取りやすく片付けやすいです。
また、上記写真のように大きめのウォールポケットに絵本を収納する方法もあります。
おもちゃ収納
棚におもちゃの写真を貼ると「ここに片付けるんだよ」ということが分かりやすいです。親と子どもが「ここ」と片付ける場所を共通に知っていると、声もかけやすいですね。
箱に入れるおもちゃは、箱にも棚にも写真を貼ると、親も子どもも分類しやすいです。
例えば、色のついたおもちゃを、その色の箱に入れて色ごとに片付けます。色分けで遊びながら片付けできるので楽しいですよ!
片付けたくな~い! と駄々をこねたときの対処法
2歳ごろに差しかかると「片付けよう」と声をかけても「イヤイヤ!」言って片付けを嫌がることがあります。どうして「イヤ」と言うか分かりますか? おそらく、ほとんどの場合は「もっと遊びたいのに!」と思っているからですよね。遊びが楽しいのに「片付けるよ」と急に言われたら、イヤと言うのは当然の話。なので、前もってお知らせするのがポイントです。
例えば、絵本を読んでいる場合は「この絵本を読んだら、お風呂に入るよ」と言った感じです。先の見通しを伝えるだけで、次の行動に移りやすくなります。また、子どもに話しかけるときは、「片付けようか?」といった子どもが選択できる形ではなく「片付けるよ」とはっきり言いましょう。
片付けは、一度言ってすぐにできるものではありません。はりきってする日もあれば、全く動こうとしない日もあります。1歳の時はできていたのに、2歳になったらしなくなることもあります。子育ては、行きつ戻りつですが、その時々の子どもの発達に合わせて緩やかに見守ってあげましょう。