「生命保険は健康な人でないと加入できない」といった話は聞いたことがあるでしょうか。生命保険は健康な人を基準として加入の条件を決めているので、大きな病気やケガをしている状態や治ったばかりの状況では加入できないことも少なくありません。
出産に備える医療保険や万一の際にお子さんに必要な生活費や教育費を残す生命保険に加入しようとした場合に加入できず後悔しないためにも生命保険の加入と健康状態についてお伝えします。
医療保険の加入は妊娠前に検討を
生命保険は、死亡保険・がん保険・医療保険など種類がいくつかありますが、保険の種類によって加入ができるかできないかの判断となる健康状態の基準が異なります。その中で医療保険は基準が厳しく、詳細に内容の確認がされます。
例えば、軽微な病気でも治療中であったり、治ったばかりの状態では加入ができなかったり、病気の部位(例:胃潰瘍であれば胃、難聴であれば耳)の治療については一定期間、保険金が給付されない条件=特定部位不担保となったりするケースがあります。逆に死亡保険は、死亡につながる可能性の高い病気・ケガでなければ、多少の病気・ケガであっても加入が制限されることは多くありません。
出産のため、妊娠高血圧症候群や異常分娩に備えて医療保険の加入を希望される方もいらっしゃると思いますが、ほとんどの保険会社では妊娠中の方の加入については、「現在進行中の妊娠・出産には入院や手術には保険金を給付しない条件」を付けることになっています。
そのため、妊娠・出産に備えて医療保険に加入したい場合は、①妊娠前に医療保険に加入するか、②現在進行中の妊娠・出産でも保険金を給付してくれる保険会社で加入するかのいずれかとなります。希望する保険に加入できずに後悔するよりは、子どもを設けようと思った際に医療保険に加入することを検討してみましょう。
保険加入の際の健康状態の判断は保険会社によって異なります
生命保険の種類や内容が保険会社ごとによって異なるように、保険加入にあたっての健康状態の判断は保険会社によって異なります。生命にかかわる病気や完治が難しい病気の判断は差が出にくいのですが、軽度・中度の病気やケガについては、保険会社の判断が分かれる場合があります。
ある保険会社では、保険金が給付されない条件=特定部位不担保が5年と判断されましたが、別の保険会社では保険金が給付されない条件=特定部位不担保がつかないと判断されたケースもあります。そのため、健康診断で指摘事項があったり、現在または直近2年間に通院があったりする際には、複数の保険会社で見積りを取ると良いでしょう。
告知書はアンケートではなく保険加入には欠かせない判断材料
生命保険の加入には、医師の診断や健康診断や人間ドックの結果の提出が必要なものもあれば、“告知書”と呼ばれる書類に健康状態の記載をするだけで医師の診断や健康診断の代替ができるものがあります。告知書はご自身で内容を記載するので、アンケート程度に思っている方もいらっしゃるのですが、実際には医師の診断や健康診断結果と同じ役割をするものです。曖昧な回答や虚偽の回答では、後日保険金が支払われない可能性があります。
持病があるので告知書に書こうとしたら、保険の担当者が「書かなくて良いですよ」と言ったやりとりは過去には散見されたようですが、このまま手続きしてしまうと、死亡時や入院時等に保険金が支払われず、保険が役に立たなくなってしまいます。保険は加入が目的ではなく、いざという時に保険金が給付されてはじめて役立つものですので、告知書の記入は正確にしましょう。病気やケガがある場合や健康診断で指摘事項のある場合は、治療や検査をしっかり行ったうえで、完治後や正常値になった際に申し込みを行うことも検討しましょう。
生命保険は結婚、妊娠、出産などのライフイベントをきっかけに加入する方多いと思いますが、その時の健康状態が良くないと加入できなかったり、条件が付いたりする可能性が出てきます。保険に加入しようと思った際には、内容や保険料が適正かどうかを考えた後に必要と判断できた場合は、健康状態が悪くなってから後悔しないように健康状態が良いときに手続きをされることをおすすめします。