こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳5歳3歳の子育て中です。暑い日が続き、汗が多いこの季節は湿疹が出やすく悩ましいですね。
赤ちゃんの肌の特徴をふまえてスキンケアできると、心がラクになるかなと思います。今回は赤ちゃんのスキンケアについて解説したいと思います。
「湿疹の原因は何ですか?」
診療をしていてよくある質問が
「この湿疹の原因は何ですか? アレルギーですか?」
というものです。
アトピーじゃないか、食物アレルギーじゃないか、というのが気になるところですよね。赤ちゃんの口のまわりにプツプツとできた湿疹の場合、食物アレルギーであることは少ないような印象です。
そして、赤ちゃんの湿疹は「原因はこれ」と断定できないことが多いです。
新生児期から乳児期初期ごろの月齢が小さい子どもによくみられる脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)と、あせもと、かぶれが混じっている、ということもよくあります。
原因ももちろん大事なのですが、赤ちゃんのお肌をきれいに保つには、基本のスキンケアをきちんと続けることが大事かなと思います。
赤ちゃんの肌の特徴は?
赤ちゃんの肌の特徴は「とにかく皮膚が薄い」ことです。
生まれたてから生後2~3カ月ごろまでは皮脂分泌が多めですが、それ以降は思春期まで「皮脂欠乏」状態になります。
そんな赤ちゃんの皮膚は水分が失われやすく、「脂漏性湿疹だけど乾燥肌」ということもよくあります。
赤ちゃんのスキンケアの基本
赤ちゃんの肌は水分が失われやすく、刺激に弱いです。そのため、
①皮膚をバリアするために保湿をしっかりおこなう
②刺激になるものに触れている時間をなるべく短くする
③皮脂を落としすぎない
というのが基本です。
アレルギー発症率が下がる?!
日本の成育医療センターで行われた研究でも、新生児期からしっかり保湿を続けることでアトピーの発症を抑えられる、という結果が出ています。
保湿はお風呂あがりにするのが一番有効ですが、1日1回の保湿で丸1日バリア効果が続くわけではありません。お肌が弱い子には、1日何回も保湿してあげるとよいでしょう。ちなみにわが家も乳児湿疹全盛期のときは、1日6-7回保湿をしていました!
さまざまな「刺激」から守る!
お肌にとって刺激になるものとは
うんち、汗、食べ物、ヨダレ、などなどです(ホコリや化粧品とかもですね)。
これらがお肌についちゃったときには、なるべく早く取ってあげるとよいです。
今の季節はあせもが多いですが、あせもがひどい子はシャワーをして汗の刺激を取り除いてあげるのもいいと思います。
皮脂を落としすぎないために
ただ、シャワーをするときはひとつ注意点が。
皮脂欠乏の状態の赤ちゃんの肌なので、石鹸を使うと皮脂を落としすぎてしまいます。石鹸を使って汚れをしっかり落とすのは1日1回にしておいて、汗やうんちを流すシャワーのときはさっと流す程度にしましょう。拭くときにゴシゴシこするのも良くありません。やさしく水分を拭き取るようにしましょう。
どんな保湿剤を使えばいい?
「保湿剤」と一言で言ってもクリーム、ローション、バーム、オイルなど、いろいろな種類がありますよね。
どれを選べばいいか気になるところですが、私たちの基礎化粧品も化粧水(肌に水分を与える)→クリーム(水分を閉じこめた肌にフタをする)という順番のことが多いですよね。(産後は忙しくて2段階にする暇がないかもしれませんが…!)
赤ちゃんも同じで、肌がカサカサしていたら水分をあげて(化粧水やローション)、そのあとに水分が逃げないようにフタをしてあげると良いです。(クリームやバーム、オイル)
あまり肌トラブルのない赤ちゃんであれば、水分も油分も含まれているクリームが手軽で良いと思います!
ローションは、クリームよりは保湿力が劣るのですが、夏場はクリームのベタベタを嫌がる子も多いので、そんなときはローションもうまく使ってあげてください。