「契約社員は帰れ」A部長の見下し発言
「売上を作っている営業が一番偉い」と信じて疑わず、私のような非正規の人間を常に見下してきます。
現在、A部長の部署は社内でトップの成績を叩き出しています。本人は「俺の営業手腕のおかげだ」と豪語していますが、それが周囲の優秀なメンバーに支えられている結果だとは気づいていません。
ある日、半期に一度の社内表彰式が終わり、懇親パーティーが始まったときのこと。今回のMVP(最優秀賞)は絶対に自分だと信じ込んでいるA部長が、すっかり酔っ払って私のところに絡んできました。
「なんでお前が来てるんだ?」「ここは優秀な正社員が労われる場所だぞ。契約社員の場違いは帰れ!」
私が席を立つと、同僚たちも立ち上がり…
以前、部長と会社のシステムについて話したことをきっかけに、部長は「契約社員のくせに……」と嫌みを言ってくるようになりました。けれど今回は、大勢の社員がいる前での発言。周囲の空気が一気に凍りつきました。同僚がハッとして私を見ますが、何を言っても無駄だということは経験上わかっています。
私があっさりと会場を出て行こうとすると、A部長は「ほら見ろ、逃げていったぞ!」と大笑いしました。しかし次の瞬間、予想外の光景が広がったのです。
「……ええ、わかりました。じゃあ私も帰ります」「何もわかってないんですね」
そう言って立ち上がったのは、いつも私のシステムを頼りにしてくれている事務の先輩たちでした。「えっ…?」と戸惑うA部長を冷たい目で見下ろし、彼女は言い放ちました。
「部長、本当に何もわかってないんですね」
「MVPは…◯◯さんです!」社長の発表に騒然
それを合図にするかのように、「私も帰ります」「俺も失礼します」と、部署のメンバーが次々と立ち上がり、私の後を追って出口へ向かい始めたのです。「な、なんだお前ら!? まさか本気で帰るのか!?」 部長が焦ったそのとき……。
会場のマイクがオンになり、第2部の「年間MVP発表」が始まりました。壇上に立った社長が、うれしそうに口を開きます。
「今年の年間MVPは……◯◯さん(私の名前)です! あれ、◯◯さん、どこに行こうとしてるの?」
その言葉に、A部長は目玉が飛び出そうなほど驚愕していました。 実は社長は、私が構築したシステムによって会社の利益率が上がったことを把握してくれていたのです。
すべてを知ったA部長、その後…
「◯◯さん(私の名前)がどんな仕事をしているか、知らなかったんですか?」
一度帰ろうとしていた社員たちが戻ってきてA部長を取り囲むと、彼は顔面蒼白に。自分がこれまで「底辺の雑用」と見下していた相手こそが、実は自分たちの成績を押し上げていた張本人だったのだと、ようやく気づいたのです。
その後、これまでのいい加減な仕事ぶりやパワハラが社長の耳にも入り、A部長は降格。一方の私は、その功績を評価され、好条件で正社員として迎え入れられることになりました。
「肩書き」だけで人を見下し、傍若無人な振る舞いを続けてきたA部長。彼の小さくなっていく背中を見ながら、私をかばってくれた同僚たちとともに、最高においしいお酒を飲み直したのでした。
◇ ◇ ◇
会社の成果は、営業だけでなく多くの人の仕事に支えられて生まれるもの。肩書きや雇用形態だけで人を判断せず、それぞれの役割を尊重し合える職場でありたいですね。
【取材時期:2026年2月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。