静かな環境で始まった子育て
入居して2年ほどの間、住人の足音が聞こえる程度の非常に静かな環境でしたが、娘が生まれてからは常に気を揉む日々が続きました。ひどい夜泣きのときには、周囲を気にして離れた駐車場に停めた車の中で夜を明かすこともあるほど、私たちは神経を使って過ごしていたのです。
そんな中、どうしても気になっていたのが上の部屋に住む40代の男性です。夫の話では「ちょっと挙動不審な人だけど、いつも向こうから笑顔であいさつしてくれる」とのことですが、私に対しては正反対。あいさつをしても無視されるか、パッと目を逸らして足早に立ち去るだけで、まともに顔を合わせたこともありません。相手によって露骨に態度を変える様子に、私は得体の知れない不安を感じていたのです。
男性が若い女性を招くようになり…
ある日、その男性が20代くらいの女性を連れて帰宅する姿を夫が見かけました。夫が「上の階の人って、ひとり暮らしだったよね」と言うので、私も「彼女かな?」と返し、そのときは特に気に留めることもなく何気ない会話を交わしただけでした。
しかし、それから1カ月も経たないうちに女性の姿は見えなくなりました。破局してしまったのか、そこから男性の様子が急変。上の部屋からは、突然「あー!」「うわああ!」という大声や、「バンッ」「ドンドンッ」と何かを激しく叩くような音が頻繁に響くようになったのです。
エスカレートする異変に恐怖
夫が仕事で不在の日中、ひとりで聞く男性の叫び声や物音に、私は恐怖を感じる一方でした。時にはその音に驚いて、眠っていた娘が飛び起きてしまうこともあったのです。
あまりの不気味さに「家にいないほうが安心かもしれない」と思うこともありましたが、外出する際に階段などで鉢合わせてしまうのが怖くて、結局は娘と家にこもる日々。通報も考えましたが、逆恨みが怖くて踏み切れませんでした。
さらなる異変は、彼の車にも現れました。朝方に帰宅する車が日に日にへこみ、目に見えてボロボロになっていったのです。ついにはフロントバンパーが外れかけ、ボンネットが開いたままの状態に。車が動かなくなったのか、1日中アパートに引きこもって叫び続ける男性の様子に限界を感じ、わが家は予定を早めての引っ越しを決めたのでした。
幸い、何事もなく無事に退去することができました。男性に異変が起きてからずっと警戒し続けていたため、当時の精神的な疲弊は相当なものでしたが、彼の暴挙が室内だけに留まったのが不幸中の幸いでした。今、こうして家族で平和に過ごせる日々に心から感謝しています。
著者:山本文子/40代女性。2014年生まれの一人娘と夫との3人暮らし。3年間薬剤師として働くが、出産を機に退職し現在は求職中。几帳面な性格で掃除が行き届いていないとモヤモヤするので、趣味は掃除すること。
イラスト:ななぎ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)