妹の夢を応援するための「節約弁当」
妹の大学進学のためにお金を貯めたいという思いから、僕はより節約に力を入れていました。妹の大学受験が目前に迫った時期の僕の昼食は、白米に梅干しを入れただけの質素なお弁当でした。節約は別に恥ずかしいことではないと思うものの、あまり人に見られたくないという思いもあり、みんなが外へランチに行く中、自分のデスクでこっそりお弁当を食べていたのですが……。ある日、後輩のBに目撃されてしまいました。
彼は裕福な家庭で育ち、今も実家で暮らしているとのこと。僕のお弁当を見るなり、「白米だけなんですね。健康的っていうか……高卒だから、お金ないんですか?」と笑いながらからかってきました。
彼の言葉に恥ずかしくなってしまった僕が何も言えずにうつむいていると、社内でも慕われている同僚女性・Aが僕たちのところへやって来ました。僕と席が近い彼女は、僕とBの会話を聞いていたよう。
そして彼女は嫌な顔ひとつせず、「私もそういうときありますよ! 私も今日はお弁当なんですけど、おかずを作りすぎたので、よかったら一緒に食べませんか?」と僕に声をかけてくれたのです。Bからバカにされていた僕を、さりげなく助けてくれたのでしょう。彼女の気づかいに救われた瞬間でした。
実は、Bは彼女に思いを寄せているという噂がありました。そのためか、Bが面白くなさそうな表情を浮かべ、何も言わずに去っていきました。
その後、Aとは2人でランチに。僕はAに、「妹のために節約している」ということを話し、彼女は僕の話をよく聞いてくれました。
後輩の望まぬ方向に…
数日後、僕の部署でのB主催の飲み会が企画されましたが、僕は節約のために不参加を伝えていました。飲み会当日、Bは「せっかくAさんも来るのに、貧乏って……悲しいですね」とあからさまに僕をバカにする発言をしてきました。
しかし、それを聞いていたAは、「彼(僕)が不参加なら、私もやめておきます。もともと外で食べるのはあまり好きではないので」と言い出して……。さらにAは「外食はお金がかかるし、よかったら今度、私の家で一緒に食事をしませんか? 妹さんもぜひ一緒に」と提案してくれました。
するとBは「俺が幹事なのに! Aさんが来ないなんて…」と焦っていました。Aの言葉は、僕をフォローしてくれるためで「社交辞令のようなものだろう」と思っていました。けれど、その後もAは「週末の予定はどうですか?」などと聞いてくれ、お言葉に甘え、週末、妹と一緒に彼女の家へお邪魔することに。
Aは手料理でもてなしてくれました。妹も彼女とすぐに意気投合し、3人で本当に楽しい時間を過ごすことができました。帰り道、妹は「すごく素敵な人だね」と喜んでくれました。
彼女の秘密と、後輩への痛快なひと言
週明けのお昼休み。自席でいつものようにお弁当を食べていると、Bが豪華なお重のお弁当を持ってやってきました。「実家の家政婦に作らせたんです。先輩の貧乏くさい弁当とは違いますよ」と自慢しているところに、Aが手作りのお弁当を持って僕に声をかけに来てくれました。
Bはすかさず、「そんな貧乏人と食べるより、俺の豪華な弁当を一緒に食べましょうよ」と彼女を誘いましたが……。彼女が自分のお弁当箱を開けると、そこに入っていたのは、なんと僕と同じ白米と梅干しだけの質素なお弁当だったのです。
「実は私も、早くに両親を亡くして苦労したんです」と彼女は静かに語り始めました。以前から、僕が両親に代わって妹を育てていることを人づてに聞いており、懸命に家族を支えている僕を気にかけてくれていたとのことでした。
そして彼女はBのほうを見て、きっぱりと言い放ちました。「家族のために必死に頑張っている人を笑うような人とは、一緒にお弁当を食べたくありません」
Aの毅然とした態度に、後輩は顔を真っ赤にして言葉を失って……。逃げるようにその場を立ち去りました。
Bは、僕の事情を知らなかったために「高卒でお金がない」と小ばかにしてきたのだと思います。それでも、今回の件で、目に見える状況だけで他人を評価するのは安易だと感じました。僕自身は、その人の事情や、目に見えない部分も考慮した上で、他者を心から思いやれる人間でありたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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