4年ぶりの連絡
4年前、元義母の不倫が原因で義父と離婚しました。当時、義父は仕事で家を空けることが多く、その間に元義母は相手の男性を家に招き入れていたのです。やがてその関係が明るみに出て、離婚に至りました。
義父は元義母の裏切りに深く傷つき、顔も見たくないほどの嫌悪感を抱いていたそうです。だからこそ、慰謝料を請求して争うより、一刻も早く縁を切ることを優先したのでした。それ以来、私たちは元義母の連絡先も消し、こちらから話題にすることすらほとんどなかったのです。そんな相手から今さら電話がかかってきたとなれば、嫌な予感しかしません。私の母が受話器を夫に渡し、夫は小さく息を吐いてから電話に出ました。すると向こうから「やっと出たわね! 何回かけたと思ってるのよ!」と一言。あまりにも一方的な物言いに、夫の眉がぴくりと動き「今さら何の用だよ」と、低い声で返しました。すると元義母は妙に芝居がかった調子で「実はねぇ、大変なことが起きちゃって……」と呟きました。続けて「再婚した夫が亡くなったのよ。母親の私の夫なんだから、あなたにとってはお父さんになるんだから知らせようと思って」というのです。
あまりにも身勝手な理屈に、部屋の空気が一瞬止まりました。 義父も苦い顔でグラスを置き、父も母も言葉を失っています。 私も返す言葉が見つからず、ただ夫の横顔を見つめることしかできませんでした。
信じられない要求
しかし、元義母の話はそれだけでは終わりませんでした。元義母は「それでね、明日葬儀なのよ。人手が足りないから手伝いに来てちょうだい」と一言。夫が「……なんで俺たちが?」と聞き返すと、元義母は当然のように「あなたたち長男夫婦なんだから、取り仕切るのが常識でしょ! 」と言い放ったのです。
その言葉を聞いた瞬間、呆れと怒りが一気に込み上げました。縁を切った相手が、困ったときだけ“家族”を持ち出してくる……。その身勝手さに、私は思わず「私たちが葬儀に出る必要あります?」と口を開きました。すると元義母は声を荒らげ「あるに決まってるでしょ! あなたにとっても父親なのよ!」と激怒! あまりにも的外れな言葉に呆れた私は「いえ……私のお義父さんなら、今ここにいますけど?」と告げました。しかし元義母は、さらに声を張り上げ「そのお父さんじゃないのよ! 私が再婚した人の話! 父親の葬儀を長男夫婦が取り仕切るのは常識でしょ! もちろん費用もあなたたちが出すのよ!」というのです。
その瞬間、私の母の 「ちょっといいですか?」と低い声が響きました。続けて「不倫して離婚したのに、困ったら頼ってくるなんて恥ずかしいと思わないのですか?」と告げました。電話の向こうで元義母が一瞬黙り込み、さっきまでの勢いがわずかに鈍ったように感じました。
本当の狙い
電話の向こうで黙り込んだ元義母でしたが、次の瞬間、苛立った声で「だって仕方ないじゃない! 急なことだったのよ!」と一言。その言い方に、私は違和感を覚えました。悲しんでいる人というより、面倒ごとを押しつけたい人の声に聞こえたのです。
すると夫は冷たい声で「だからって、なんで俺たちが金まで出すんだよ」と尋ねました。すると元義母は「こっちだって余裕がないのよ! 旅行だって行ったし、買い物だってあるし……あ!」と口を滑らせたことに気づいたのです。その言葉で、部屋の空気が一瞬止まりました。夫が低い声で「……金がないの? お金がないから連絡してきたの?」と問いかけました。すると、元義母は開き直ったように「そうよ! 葬儀代が足りないのよ! だから長男のあんたたちが出せばいいって言ってるの!」と言い放ったのです。その瞬間、夫が「ふざけるな! 見ず知らずの人間の葬儀代なんて出すか! 俺の親は、ここにいる父さんだけだ。もう二度と連絡してくるな」 そう言って電話を切ったのでした。
しばらく重たい沈黙が続きましたが母の「嫌な話はもう終わりだ。ほら、飲み直そう!」という言葉で部屋の空気は少しずつ和らぎました。義父も苦笑しながら頭を下げ、夫もようやく肩の力を抜きました。 私も胸の奥にたまっていた重たいものが、少しずつほどけていくのを感じました。
その後、義父はすっかり元気になり、今では私の両親ともますます仲良しに。みんなで次は温泉旅行に行こう、という話まで出るようになりました。
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血のつながりだけが家族ではありません。本当に大切なのは、困ったときに支え合える関係なのかもしれませんね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。