結婚して3カ月ほど経ったころ、見知らぬSNSアカウントからメッセージが届きました。開いてみると、差出人は夫の元カノです。「彼はまだ私のことが好きなはず」「返してほしい」という内容がつらつらと綴られていました。
私ははっきりと拒否し、二度と連絡しないよう伝えました。しかし相手は「私が本気を出せば、彼はすぐ戻ってくる」と、宣戦布告のような捨て台詞を残したのです。
元カノと密会
それからさらに2カ月後、夫の帰りが遅い日が続きました。繁忙期でもないのに3週間近く毎晩のように帰宅は夜中の12時超え……。
問い詰めると、夫はようやく白状しました。元カノと会っていた、と。
それでも「浮気じゃない、相談に乗っているだけだ」と夫は言いました。元カノが離婚して地元に戻り、実家にも居場所がなく、頼れる人がいないのだと……。
しかし、未練のある元カノとふたりきりで会い、妻には嘘をつく——それを受け入れられるわけがありません。私が「もう会わないでほしい」と伝えると、夫の態度は一変しました。
「お前は冷たい人間だ」「思いやりがない」と逆上し、その夜は元カノのもとへ行ったまま帰ってきませんでした。
元カノが狙っていたのは……
翌朝、元カノからSNSでメッセージが届きました。夫が自分の家に泊まっていること、そして「離婚して寂しい」と伝えたらその場でプロポーズされたことを、勝ち誇るように報告してきたのです。
「高年収の夫を失って悔しいでしょ?」——その一文で、元カノの目的がはっきりしました。夫は、お酒を飲むと自慢げに年収を暴露していました。
その話が巡り巡って元カノの耳に入ったのでしょう。彼女は最初から金銭目当てだったのです。
夫はその日の夕方、神妙な顔で戻ってきて、私に「離婚してほしい」と切り出しました。信頼していた部下であり、愛した夫、その両方に裏切られたショックはありましたが、それ以上に彼への冷めた感情が勝った私は、離婚を受け入れることにしたのです。
夫が手放したくないもの
私は感情に流されず、ひとつずつ条件を整理しました。そのうちの1つが会社での処遇です。これからも夫と同じ部署で働くことは望ましくありません。私は異動希望を出しました。
しかし、私と夫が所属する部署は今が踏ん張りどころ。統括部長である私が現場を離れるわけには行きません。事情を聞かれたので一部始終を話すと、人事からは、私情によるトラブルが部署全体の士気を下げ、業務運営に支障をきたしている点を重く見られました。結果、就業規則の配置転換規定に基づき、夫を異動させる決定が下されたのです
夫に伝えると、途端に慌てた様子……。「それでは仕事ができない」「資料の確認もミスのフォローもどうすればいいんだ」と取り乱す夫を見て、私は呆れてしまいました。
「自分でそう言っていて、情けないと思わないの?」夫のキャリアが私のサポートで成り立っていたことは、彼自身が一番理解していたはずです。それにもかかわらず、その支えを自ら捨てて別の女性を選びました。
自分がどれほど危うい足場にいたのか、夫はこのときようやく痛感し始めたようです。
しかし私の決意は揺るぎません。離婚届にサインをもらい、私は粛々と手続きを進めました。
不倫夫の末路
離婚から数カ月後、元夫から連絡がありました。異動先で仕事についていけず、居心地が悪くなって退職したそうです。再就職先も見つからず、元カノも働こうとしないため、生活は困窮……。すべてが裏目に出る結果となっていました。
追い打ちをかけるように、元カノの離婚原因が本人の浪費や借金にあり、前の夫から高額の慰謝料を請求されている事実も判明したそう。彼女がなりふり構わず夫の収入にすがりついた理由が、ここですべて繋がったのです。
元夫は「助けてくれ」「やり直さないか」と懇願してきましたが、私は取り合いませんでした。
私は変わらず仕事に打ち込み、さらに責任あるポジションを任されるようになりました。次に誰かとパートナーになるなら、自分の足で立てる人がいいなと思っています。
◇ ◇ ◇
結婚生活において、パートナーの支えを「当たり前」と思い込んでしまうことは、誰にでも起こりうることかもしれません。しかし、感謝を忘れ、目先の感情に流されてしまえば、築いてきた信頼も環境も一度に失ってしまうでしょう。
大切なのは、日々の中で相手への敬意を忘れないこと。当たり前のように隣にいてくれる人を、一番大切にする——そんなシンプルで、けれど最も重要なことを、忘れないようにしたいですね。
【取材時期:2026年2月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。