納期トラブルで揺らぐ夫への信頼…
私は会社員として働きながら、社内の案件でイラスト制作を外部に発注する担当もしています。最近、その一部をフリーランスの夫に依頼するようになっていました。上司も夫のイラストを気に入り、安心していたのですが……。
ところがある日、納期当日になって提出できないかもしれないと夫が口にしました。急な別案件が入ってスケジュールが崩れたのだと言います。ですが、こちらにはこちらの事情がある。私は思わず厳しい言い方になりました。
身内だからこそ、適当だと思われたら私の立場もなくなります。そう伝えると夫は反省し、翌日には必ず納品すると約束しました。
夫は「迷惑をかけてごめん」と頭を下げましたが、仕事の遅れだけではない、別の理由があるような気がして胸騒ぎがしました。
夫の幼なじみが離婚…その原因は!?
その日の夜、夕食を作りながら夫に聞いたのは、幼なじみであるAさんの離婚話でした。夫は相談に乗っていて、それが原因でスケジュールが詰まっていたのだと言います。
夫の話では、Aさんは結婚後に他県へ移り住み、専業主婦だったとのこと。離婚のきっかけは夫婦関係の悪化に加え、そこに“別の男性”の存在も絡んでいたそうです。しかも、その相手は既婚者だったらしく……。
私は言葉を選びながらも、正直な気持ちを伝えました。つらい状況で友人を頼りたくなる気持ちは理解できる。でも世間から見れば不倫は不倫。夫はそれでも「Aは悪い人じゃない」と肩を持ちます。
ここまではまだ「相談に乗る」話でした。私も、話を聞いてあげるだけでも救われることはあると思ったし、夫には仕事に集中するよう促して、その場は収めました。
幼なじみを家に?夫の提案を拒否すると
ある日、遅くに帰宅した夫が打ち明けたのは、Aさんが離婚届を提出した直後に家を追い出され、行き場を失っているという話でした。そして、ためらいもなくこう言ったのです。
「うちでしばらく面倒を見たい」
私の頭の中で警報が鳴りました。私はAさんとほとんど面識がありません。状況が泥沼なのも聞いている。それなのに、既婚の夫の家に転がり込む話が、なぜ“当然”のように進むのか。
私は「夫が個人の範囲で支援するのは構わない。でも家庭とは切り分けてほしい」と伝えました。すると夫は、私を「非情だ」と責め始めたのです。さらに、家事をAさんがやってくれれば自分はもっと仕事に打ち込める、共働きなんだから助かるだろう、とまで言い出しました。
私は繰り返し「同意できない」と伝えましたが、夫は聞く耳を持たず、最後には「受け入れないなら離婚も考える」と脅してきました。
「離婚も考える」夫の“脅し”に出した答えは
離婚という言葉が出た瞬間、私の中で何かが冷めました。夫は、話し合いの道具として使ってはいけない言葉を、簡単に口にしたのです。
そして私は淡々と言いました。「じゃあ、うちの会社からあなたへの仕事も今後はないと思って。まず自分の心配したほうがいいよ」
夫は「横暴だ、脅しだ」と怒りました。でも事実、夫だから依頼していた面が大きい。信頼を削り、家庭を揺らし、さらに離婚で脅す相手に、同じように仕事をお願いする理由はありませんでした。
幼なじみを選んだ夫の末路…そして私は
その後、夫は本当にAさんを家に連れてきました。私はすぐに「今週までに別の場所へ移ってほしい」と期限を切りました。けれど期限を過ぎても、Aさんは居座り、夫は「Aは今、ショックで動けない」とかばうばかり。
私は家に帰らなくなりました。荷物だけ取りに行き、新しい住まいの準備を進めました。夫は「離婚は本気じゃなかった」と泣きついてきましたが、もう遅い。脅しだったのなら、なおさら質が悪い。
それでも夫は最後まで「Aを見捨てられない」と言いました。私より優先する存在が家にいるのに、「帰ってきて」と言われても戻れるはずがありません。私は、夫に告げました。「Aさんじゃない。一番許せないのは、あなた」
最終的に、私は夫と離婚しました。夫は最後まで泣いていましたが、Aさんが出ていかない状況ではどうにもできないと諦めたようです。
その後、夫は生活のために働き方を変え、なんとか家賃を払っていたと聞きました。しかし家で何もしないAさんと衝突し、険悪になったとも。結局、Aさんは新しい恋人を作って家を出ていったそうです。夫はようやく事態を理解し、弁護士経由で後悔の手紙が届きました。
けれど、私の感情はもう動きませんでした。離婚後、私は仕事に打ち込みながらひとり暮らしを満喫しています。結婚していたころより、暮らしが不思議なくらいラクになりました。きっかけはAさんだったかもしれないけれど、遅かれ早かれこうなっていたのだと思います。私はこれからも仕事を頑張りつつ、自分なりの幸せを見つけていくつもりです。
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困っている人を支えたいという気持ちは尊いものですが、家族の同意や境界線を無視してしまうと、守るべき関係まで壊してしまうことも。誰かを支える前に、まずは一番近くにいる相手への誠実さを忘れないようにしたいですね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています