そして先日、いつものように一緒に遊んでいたオンラインゲームの中で、彼からプロポーズされたのです。彼らしいサプライズにとても感動し、うれしくてたまりませんでした。もちろん、私の返事はOK。いつも一緒にプレイしているほかのプレイヤーたちにも祝福され、私たちはオンラインゲームの中で結婚式も挙げました。
その翌日、改めて直接会い、対面で正式にプロポーズを受けた私。実際の結婚式も挙げて、心配している両親を安心させたいという彼の言葉に、私はますます惹かれました。
しかし、結婚に向けた具体的な話し合いを始めた矢先……。
時代錯誤な結婚観
彼から信じられない言葉が飛び出したのです。彼が職場の上司に結婚の報告をしたというので、私は「それなら今後の共働き生活について話し合おう」と提案。すると、彼は「結婚したら仕事は辞めてくれ。専業主婦になって俺を支えてくれ!」と当然のように言い出したのです。
私は、今の仕事が大好きで、辞めたいと思ったことは一度もありません。交際中から仕事への熱意については彼にも何度も話していました。それなのに……。
驚いて理由を聞くと、彼は「女が働いてどうする。俺の稼ぎだけで家族を養えるし、家事や育児は女がやるものだろ?」と決めつけてきたのです。
私が「家事をする人が必要なら、あなたが主夫になる道もあるんじゃない?」と反論すると、彼は「男が主夫になるなんて周りから笑われる」と聞く耳を持ちません。
私の意見を聞こうともせず、彼は「将来子どもができたときのためにも、母親は常に家にいるべきだ」という、自分の価値観を一方的に押しつけてきました。
翌日になっても、彼は私が仕事を辞めるものだと信じて疑いませんでした。
「どうせ大したキャリアでもないだろうし、俺が養ってやるんだから大人しく主婦になれ。それに子どもができたら、どうせ辞めるんだから今から家事に慣れておいたほうが効率もいいだろ」と、上から目線で言われ、私の我慢も限界に達し……。
私の年収を知って激高!?
「私のほうが収入が多いのに? 効率を考えるなら、私が働き続けて、あなたが主夫になるほうがずっといいと思うけど」
そう伝えると、彼は「え?」と一瞬驚いたような表情をしましたが、すぐに「ふっ」と鼻で笑って私の言葉を信じようとしませんでした。そこで私は、現在の年収が約1000万円近いことを明かしました。
私は学生時代、人間関係に悩んで家に引きこもりがちになり、オンラインゲームばかりしていた時期がありました。しかし、そこからネットワークやプログラミングに興味を持ち、猛勉強の末に現在の外資系IT企業に就職しました。
今はセキュリティエンジニアとして、企業をサイバー攻撃から守る専門的な仕事をしています。特殊な技能と重い責任が伴い、副業なども厳しく制限されている分、それなりの報酬を得ているのです。
真実を知った彼は「女のくせにそんなにもらっているなんておかしい! 俺のほうが有能なのに理不尽だ!」と激高。彼は親族のつながりで現在の会社に入社しており、そのことに引け目があったのか、私を見下すような発言をしてきたのです。
年収で負けていると知ったとたん、彼は不機嫌になり、「俺とお前では価値観が違いすぎる! 結婚はやめだ! 別れる!」と一方的に別れを告げられました。私も彼の根底にある女性蔑視やモラハラ気質にすっかり冷めていたので、そのまま関係を終わらせることにしました。
それから半年後、彼から突然「助けてくれ!」と連絡がありました。話を聞くと、会社から貸与されているPCに異常が出て、画面が勝手に動くなど操作しづらい状態になっているとのことでした。本来なら勤務先の上司や情報システム部などに報告すべき事案なのに、なぜか彼は私に助けを求めてきたのです。
詳しく事情を聞くと、勤務中に会社のPCで仕事と無関係なゲームをダウンロードしてプレイしていたところ、その過程で不審なファイルやサイトに触れてしまったのだとか。どうやらマルウェアに感染した可能性があるようでした。
軽率な行動が現実でも問題に
「お前はセキュリティのプロなんだろ? どうしたらいい? なんとかしてくれ!」と懇願されましたが、私は「会社のPCなんでしょ? 私ではなく、会社の情報システム部とか上司にすぐ報告して」と伝えました。
彼自身、まずいことをしたという自覚があったからこそ、社内ではなく私に連絡してきたのでしょう。勤務中に会社PCで私的にゲームを入手・利用し、結果としてセキュリティ事故を招いた危機管理の甘さには、あきれるしかありませんでした。
彼は、自身の愚行が会社に知れ、処分されることを恐れたのか「お前しか頼れないんだ! 頼む! 助けてくれ! あのときは俺がどうかしてた。収入でお前に負けていると知って悔しくて、つい心にもないことを言ってしまった。もう絶対に見下したりしないから、俺とやり直してくれ」と、あろうことか復縁まで迫ってきたのです。
勤務中にゲームをするような不誠実な人。さらには都合のいいときだけ頼ってくるような人。そんな人とやり直したいと思うはずがありません。私は最後に「ゲームならいつでもリセットしてやり直せるけど、現実はそうはいかないの。他人に頼っておいしいところだけ持っていこうとする癖は、ゲームの外でも同じなんだね。そんな甘い態度は、ゲームの中でだけにしたほうがいいんじゃない?」と告げ、連絡先をブロックしました。
その後、彼がどうなったかは知りませんが、オンラインゲームの中でも彼を見かけることはなくなりました。いつも一緒にプレイしているほかのプレイヤーたちから「仕事やめたらしいよ」とだけ聞きました。
私は今、自分の仕事にやりがいを感じながら、お互いを心から尊重し合える新しい出会いを探しています。これからもしっかり現実を生きながら、息抜きに大好きなオンラインゲームを楽しみたいと思います。
◇ ◇ ◇
交際相手の思いがけない価値観やモラハラ気質に直面し、戸惑うことは決して珍しくはないのかもしれません。特に、収入や社会的立場の違いが明らかになったとき、相手の隠れていた本性が浮き彫りになることは少なくないのではないでしょうか。相手の言葉の裏にある価値観や人間性を冷静に見極め、自分の生き方やキャリアを尊重してくれない相手とは早めに距離を置くという選択をしたいですね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。