今回は、フォローアップミルクが必要かどうか迷ったときのお話をします。
フォローアップミルクは必要?
フォローアップミルクは、牛乳の代用品として製造開発された食品です。母乳の代用品として製造開発された育児用ミルクとは異なります。
牛乳はたんぱく質やカルシウムが多く含まれているため、消化機能が未発達な赤ちゃんは消化に負担がかかり、また鉄分の含有量が少なく鉄欠乏性貧血を予防する観点から、厚生労働省策定の「授乳・離乳の支援ガイド」では1歳すぎてから飲むことが望ましいとされています。そこで、たんぱく質の量を少なく、カルシウムや鉄などを添加して離乳食で不足しがちな栄養成分を補うことを目的に製造開発されたのがフォローアップミルクです。
妊娠・出産・子育てをテーマにした書籍や雑誌、webサイトに「フォローアップミルクはいつから与える?」「余ったフォローアップミルクの利用方法」という見出しがあるために、フォローアップミルクは与えるべきものとして受け止めてしまうこともあるでしょう。
離乳食が順調に進んで、よく食べている子にはフォローアップミルクは必須ではありません。離乳食が順調に進まない場合でも、母乳や育児用ミルクがよく飲めていればフォローアップミルクは必須ではありません。離乳食を開始してからも、母乳や育児用ミルクはもちろん与え続けていいですし、フォローアップミルクに切り替えたり、追加して与える必要はありません。
フォローアップミルクはなぜ売っているの?
赤ちゃんに飲ませる育児用ミルクは、母乳の代わりに与えるものです。そのため、母乳の成分にできる限り近づけた母乳代用品として製造販売されています。
フォローアップミルクは、前述したように牛乳の代わりに与えるものとして開発されたものです。離乳食を開始する月齢以降の乳児は生理的に鉄分が不足しがちであること、牛乳に含まれる鉄分が少ないことから、鉄分を補う食品としてフォローアップミルクは販売されています。
製造販売する乳業会社は、フォローアップミルクは離乳食を1日3回十分な量を食べるようになった生後9カ月以降に使用すること、離乳食がまだ十分に進んでいないうちに母乳や育児用ミルクをフォローアップミルクに切り替えることは間違いであることも説明しています。ただし、母乳育児の赤ちゃんは特に鉄欠乏になりやすいので、うまくフォローアップミルクを併用すると良いでしょう。
子どもの栄養について心配な場合は、小児科あるいは居住地の保健所や保健センターの保健師・助産師・栄養士へ相談しましょう。
フォローアップミルクを与えるべきか悩んだら
離乳食は、母乳や育児用ミルク以外の食べ物から成長に必要な栄養を補うものです。また、自分の口から食べて、舌や歯ぐき、歯をじょうずに使って飲み込むという咀嚼や嚥下を学ぶ機会でもあります。
液体だけではなく固形物の食事へ置き換えていく大切な時期なので、「離乳食を思うように食べてくれないから」「離乳食だけでは栄養が足りないような気がするから」という理由でフォローアップミルクを使用する必要はありません。
フォローアップミルクを与えるべきか悩む場合は、小児科あるいは居住地の保健所や保健センターの保健師・助産師・栄養士へ相談しましょう。
もしフォローアップミルクを買って余ったら
各乳業会社のホームページでは、フォローアップミルクを使った離乳食の調理方法が紹介されているので参考にしましょう。ただし、フォローアップミルクの風味は、個人の好き嫌いが分かれます。フォローアップミルクを利用して作った離乳食を、子どもがすすんで食べない場合は、無理強いしないように気をつけましょう。
また、子どものために開発されたフォローアップミルクが、まるで大人にとっては完全なる栄養補助食品のように説明するwebサイトやレシピの紹介サイトが存在しますが、子どもと大人では必要な栄養量は異なり、消化吸収には個人差があります。過度な期待はせず、大人も子どもと同じようにバランスの良い食事から栄養を摂りましょう。
一度開封したフォローアップミルクがたくさん余っていても、衛生的な視点から他の親子へ譲ることはやめましょう。また、「フォローアップミルクは必要?」と悩む親を増やさないためにも、未開封のフォローアップミルクをフリマアプリなどで売買することはやめましょう。
まとめ
離乳食を順調に食べられていれば、フォローアップミルクは必須ではありません。子どもの成長を促すために必要な栄養素を不足させないことは大切ですが、過剰に与える必要はありません。
<参考>
・厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド (2019年改定版)
・乳幼児健康診査身体診察マニュアル - 国立成育医療研究センター平成30年3月
・nfant and young child feeding in emergencies (Version 3.0)
・災害時における乳幼児の栄養~災害救援スタッフと管理者のための活動の手引き旧版の日本語訳(改訂版は現在翻訳中)