

慣れが生んだ油断と、連絡を忘れた「あの夜」
共働きで生活リズムが違う僕たちにとって、帰宅時間の共有は大切な習慣でした。しかし、仕事が忙しくなり飲み会が増える中で、「少しくらい大丈夫だろう」という甘えが僕に生まれていったのです。
ある飲み会のあと、気づけば終電間際。妻に連絡を入れる余裕もないまま、僕は急いで帰路につきました。すると暗い道で溝に足を取られ、派手に転倒。泥だらけになりながら、なんとか家にたどり着きました。そんな僕を見た妻の表情は、驚きだけではありませんでした。言葉にならないほどの怒りがにじんでいたのです。
「どうして連絡をくれなかったの?」という妻の問いに、僕は「こっちだって大変だったんだ」と反発して口論に。その夜は互いに背を向けたまま、冷たい空気の中で眠りにつきました。
妻の怒りの裏にあった、眠れないほどの「恐怖」
翌日、落ち着きを取り戻した妻が静かに話し始めました。連絡が途絶えた数時間、彼女は何度もスマホを握りしめ、外で車の音がするたびに窓の外を確認していたそうです。最悪の事態を想定し、警察や近隣の病院の連絡先まで調べていたとのこと。「もし事故に遭っていたら、もう会えなかったら……」。そう考えて、一睡もできなかったと打ち明けられました。
その話を聞いた瞬間、僕は胸が締め付けられる思いに。僕が「たかが連絡」と軽視していた裏で、彼女は「愛する人を失う恐怖」とひとりで戦っていたのだと理解したのです。
「ルール」ではなく一番身近な「思いやり」
それまでの僕は、連絡を「守らなければならない面倒なルール」くらいにしか思っていませんでした。しかし、本当は違ったのです。連絡とは、待っている相手に安心を届けるための、1番身近で大切な「思いやり」だと気づきました。
それ以来、どれだけ忙しくても、ひと言でも状況を伝えるようにしています。お酒との付き合い方も見直し、なにより「自分の行動が相手の心にどう響くか」を想像するようになりました。
あの夜の出来事は、とても褒められたものではありません。それでも、あの衝突があったからこそ、僕たちは本音で向き合い、互いの存在の大きさを再確認できました。
結婚生活は、きれいごとだけでは続かないもの。失敗することもあれば、ぶつかることもあります。それを一緒に乗り越えるたびに、絆はより強く、しなやかになっていくのだと実感しました。あのとき逃げずに話し合えたからこそ、今の僕は心から「結婚してよかった」と思えています。
著者:大石浩志/40代男性・香川県在住。IT系企業に勤める会社員。本を読むことが好き。
作画:おみき
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)
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