義実家の“大事な話”に募る嫌な予感
そんな中、以前から決まっていた義実家との食事の予定が週末に控えていました。父のお見舞いに行きたかったのですが、夫から「大事な話があるらしい」と言われ……。
夫の母は以前、同居の話を持ち出したことがありました。あのときははっきり断ったものの、あまりにあっさり引き下がったことが、私はずっと引っかかっていたのです。
だからこそ今回の“大事な話”も、また同居の件ではないかと嫌な予感がしていました。
夫は「さすがに嫌がっているのに無理やり同居なんてさせないだろう」と軽く受け流していましたが、私はもし本当にそういう話になったときは、一緒に断ってほしいと念を押しました。
すると夫は、「俺も今さら親と一緒に住むなんて堅苦しいし」と答え、私はその言葉を信じることにしたのです。
闘病中の父より海外旅行を優先する夫…
それから1カ月。父の入院生活は続き、私は仕事と病院通いに追われる日々を送っていました。そんなある日、夫から義母が旅行のことを早く決めろと言っていた、と聞かされました。
実は義両親は、同居を諦める代わりに家族でハワイ旅行へ連れて行ってほしいと言い出していたのです。父が闘病中の今、とてもそんな気持ちにはなれませんでした。そこで、せめて時期を延期してほしいと夫に伝えました。
ところが夫は、「断ったら同居することになるかもしれない」「これは楽しむための旅行じゃなくて、同居の代わりの旅行なんだから」と言って、私の気持ちをまったく汲もうとしませんでした。
私は、父の体調が不安定になってきていること、だからこそ今はそばにいたいことを必死に説明しました。けれど夫は、「そういうときに限って長生きするもんだろ」と、信じられないほど軽く受け流したのです。父は私たち夫婦のために車や家電を援助してくれたのに、夫からは父を思いやるような言葉もなく……あ然としました。
父が亡くなり…夫が放った信じられない暴言
さらに1カ月後の夜、父が息を引き取りました。悲しみに暮れる間もなく、私は翌日から通夜と葬儀の準備に追われることになりました。そんな中、義母から「明日からの旅行で空港までのタクシーを予約しておいて」と連絡が届いたのです。私はまさかと思い夫に確認しましたが、返ってきたのは「うん、行くよ」という言葉でした。
父が亡くなったばかりなのに、本気で旅行へ行くつもりなのか。そう問い詰める私に、夫は「今キャンセルしたらもったいない」「母さんたちも楽しみにしてる」と悪びれもなく言いました。私が「明日から通夜と葬儀がある」「夫として出席するのが礼儀ではないのか」と訴えても、夫は心底面倒そうにこう言い放ったのです。
「お前の親父の葬式なんか知るかよ」
「俺たち家族には関係ないし」
その瞬間、私の中で何かが完全に切れました。父を亡くした悲しみの中で、夫に寄り添ってほしかったわけではありません。ただ、人として最低限の礼儀と情くらいは持っていてほしかったのです。けれど夫は、私の家族を“完全に他人”だと言い切りました。
父を侮辱した夫に別れを決意…待っていたのは
私はその言葉を聞いて、ようやく悟りました。この人は、私が苦しいときに支えてくれる相手ではない。むしろ、自分と自分の親の都合しか考えていないのだと。
数日後、旅行から帰ってきた夫を待っていたのは、家具も家電もほとんどなくなった家でした。家の中にあったものの多くは、父や私のお金で用意したものだったからです。私は自分の意思でそれらを実家に運び、夫に離婚を告げました。
夫は「葬式に出なかっただけじゃないか」と言いましたが、私にとっては“それだけ”ではありませんでした。父の闘病中も一度も見舞いに来ず、亡くなったときも顔を出さず、あげくの果てに私の家族を他人だと言い切った。そのすべてが、もう二度と一緒には生きていけないと思わせるには十分だったのです。
最後まで強欲だった義両親…元夫の末路は
その後、何度か話し合いを重ね、数カ月後に離婚が成立しました。最後の話し合いには義両親も同席しましたが、財産分与として父の遺産を渡せと言い出し、弁護士から「遺産は分与の対象にならない」ときっぱり退けられていました。最後まで自分たちの利益しか考えていない姿に、心の底からうんざりしたのを覚えています。
さらに元夫は、いったん実家に戻ったものの、ひとり暮らしの引っ越し資金にするはずだったお金を義両親に勝手に使われ、そのことで大喧嘩になったそうです。同居をきっかけに、義両親は元夫の給料を当てにするようになり、喧嘩の絶えない毎日を送っていると親戚から聞きました。
私は父の遺品整理を終えたあと、母と一緒に実家で穏やかな日々を送っています。そして、父との思い出を胸に、少しずつ前を向いて生きていきたいと思っています。
◇ ◇ ◇
夫婦でも価値観の違いはありますが、今回のように相手の大切な家族を軽んじたり、つらい状況に寄り添おうとしない姿勢は、単なるすれ違いでは片づけられない問題といえるかもしれません。
どれだけ近い関係であっても、人としての思いやりや最低限の礼儀が欠けてしまえば、その関係を続けていくことは難しくなりますよね。今回の出来事は、「一緒に生きていける相手かどうか」を見極める大切さを考えさせられますね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています