こんにちは、保育士の中田馨です。1歳を過ぎると、少しずつお着替えができるようになってきます。足をズボンに入れるときに自分から足をピンとのばしてくれたり、Tシャツを頭からかぶろうとしたり。そんな様子が見られたら、お着替えの練習スタートの目安です。
今回はステップアップを踏むことでラクに、ひとりでお着替えができるようになる方法を話します。
着替えの時間を楽しくする
大人にとって着替えは、生活するうえで必要な行動の一つです。朝、パジャマから服に着替えるのは1分もかからないでしょう。でも、赤ちゃんはそうではありません。赤ちゃんにとっても着替えは「遊び」です。「どうして余計なことばかりしているの?」と思うかもしれませんが、それは「遊び」だからなのです。大人目線で「サッと着替えてほしい」という気持ちは少し横に置いて、赤ちゃん目線で楽しく進めてみましょう。
着替えに最初からとても興味のある子どももいれば、そうでない子もいます。着替えに興味を持たない場合は、着替えるたびに「はい、手をここに入れてね」「ズボンに足を入れると足が出てくるよ~。いないいないばあ!」など、赤ちゃんが興味を引くよう、楽しい雰囲気の中で着替えをします。
まずは脱ぐことからスタート
これまでママと一緒に着替えをしてきた赤ちゃんが、徐々に自分から着替えしたいというサインを出し始めます。まず簡単なのが脱ぐこと。靴下を脱ぐことからスタートをおすすめします。最初は靴下がほとんど脱げている状態にして、最後にひと引っ張りすればスポンと脱げるところからスタート。自分で脱げたら「どうだ!」と自信になります。
次に、ズボンにチャレンジです。私の娘は、1歳前から服を脱ぐのがとても好きでした。とても速いスピードでおむつまで脱いで、気づけばすっぽんぽんになって、ハイハイしていました。服を着せようとすると、のけぞって嫌がります。夏だったので飽きるまで付き合おう決心しました。そんなすっぽんぽん娘の時期が2週間ほど続き、ある日ピタッと止みました。
きっと脱ぐことに満足したのでしょうね。「服を脱ぐ」ことは、子どもにとって遊びのひとつ。最初は一つ一つの動きに時間がかかるかもしれませんが、子どもが満足するまで付き合うと、どんどん上達して結果的にラクになります。
ママは手伝いすぎず、絶妙なサポートを
子どもがモタモタと服の着脱をしていると「もう、見てられない!」と、思わず助けの手が出てしまいそうになりますね。予定などがあり、時間が差し迫っているときはなおのことです。でも、ここでママがしてしまうと、子どもは「私が全部するのにー!」と怒ってしまうでしょう。では、助けないほうがいいのでしょうか?
こんなときは、さりげなく「絶妙なサポート」をしてあげましょう。ズボンを履くときに、最後のおしりへの引き上げがうまくいかなかったら、気づかれないように子どもがズボンを上げるタイミングに合わせて、おしり側をサッと上げる。Tシャツから頭が出なければ、子どもにばれないくらいの力でスーッと引っ張る。この「絶妙なサポート」で、子どもは「自分でできた!」という自信になります。そして、徐々に「絶妙なサポート」を減らしていきましょう。
お着替えを急にしなくなったら?
ある日突然、自分で着替えることをボイコットするときがあります。「昨日までできていたのにどうして?」と、ママはビックリするかもしれませんが、慌てないでください。自分で着替えをしたくなければ、ママが着替えさせてあげましょう。「じゃあ、今日はママが手伝うね!」と言って十分に甘えさせてあげるのです。一度できるようになったことも、ときにはママにしてほしいこともあります。1回だけでなく続くようなら、何度かママが着替えさせて、ころあいを見て「じゃあ、靴下は〇〇ちゃんよろしくね」と、少しずつ声掛けをしていきます。
着替えに限らず、子どもは行きつ戻りつしながら成長しています。前へ進まず心配になることもあるかと思いますが、ときに後ろに戻ることが前へ進むことへつながります。
着替えは、練習すればすぐにできるようになるものではありません。いずれできるようになりますので、焦らず、できたら「ほめる」を繰り返し、子どものペースで進めていきましょう。