実はそのころ、夫の上司であり私の先輩でもある女性から、こっそり連絡が入っていました。「旦那さん、今『接待』って嘘ついて女の子がいる店で飲んでるよ」と……。
仕事だと嘘をついて飲み歩く夫に、私は子どもが生まれる前にした「子どもが産まれたら飲み会を減らす」という約束を思い出すよう言いました。
しかし夫は、「お前も同じ会社で働いていたならわかるだろ、飲むのも仕事なんだよ」と開き直るばかり……。
エスカレートする暴言
それから1週間後。深夜24時を過ぎても帰宅しない夫に連絡すると、電話越しに聞こえてきたのは、ろれつの回らない怒声でした。「せっかく楽しく飲んでるのに、お前のせいで台無しだ!」
私は冷静に、毎日飲み歩くのを控えて、たまには早く帰って子どもの顔を見てほしいと訴えました。しかし、酔った夫の本音はあまりに無慈悲なもの。
「仕事で疲れて帰って、夜泣きで起こされる。やってられるか!」と吐き捨てたのです。
さらに、私を絶望させたのは次の言葉でした。「1日中、家で子どもと遊んでるだけの分際で何様だよ。誰の金で飯食えてると思ってんの? 養ってもらってる自覚があるなら、黙って俺に従ってればいいんだよ」
私は呆然としました。初めての育児に戸惑い、助けを求めている妻を「養っている対象」としか見なさず、否定する夫……。この人はもう、私が知っている夫ではありませんでした。
私は「もういい。もう期待しない」と告げ、心の中で決別を選んだのです。
夫に連絡したのは私ではなく…
数日後の深夜23時。相変わらず飲み歩く夫のスマホに何度か電話をかけました。
夫は、いつものようにイライラした様子で「うるさいんだよ!」とメッセージを送りつけてきましたが、夫に連絡をしたのは私ではありません。
「何度もされたくないなら、さっさと出なよ」
私のスマホから夫に連絡を入れたのは、先日夫の嘘を私にこっそり教えてくれた、夫の上司です。後輩である私を心配し、相談にのるためにうちに来ていました。
その後も上司はメッセージを送り続けますが、夫は当初、私が上司のフリをしていると思い込み、「家に引きこもっているお前が上司なわけないだろ」と嘲笑いました。しかし、上司しか知らない、職場で夫がやらかした数々の不祥事を具体的に挙げると、夫は凍りつきました。
「君の素行不良、もう私一人じゃ庇いきれないところまで来てる。……上には報告したから」
上司は、夫をこれまで必死に庇ってきましたが、度重なる素行不良と会社への損害は、もう看過できるレベルを超えていたそう。今日わが家に出向いてくれたのは、相談にのるだけでなく、夫をフォローしきれなかったことを詫びにきてくれたのです。
都合の良い夫
上司も帰宅した、その日の深夜2時。夫から、ひどくバツの悪そうな連絡が届きました。
「さっきは本当にごめん……仕事クビになると思う。本当にどうかしてたんだ……」気まずそうに詫びながらも、その言葉の裏には「謝れば許してもらえるはず」という甘い期待が透けて見えます。
さらに夫は「君もそろそろ復職する予定だっただろ? 俺が再就職するまで、しばらく君に養ってもらうってことでいいよね!」と言いました。
私が返す言葉をなくしていると、夫はさらに続けます。
「上司と仲がいいんだから、君からお願いしてクビを取り消してくれないかな?」
私はその身勝手さに絶句しました。あれほど私を見下しておきながら、いざとなれば私の人脈を都合よく利用しようとする、その厚顔無恥な態度に、私の心は完全に冷え切ったのです。
「なんでまだ夫婦でいられると思っているの? 」と言って、離婚を告げました。
夫の末路
その後、夫は往生際悪く離婚を拒否しましたが、再び駆けつけてくれた上司の立ち会いのもと、夫のこれまでの非を徹底的に追及。逃げ場を失った夫は、ついに離婚条件を飲み、届出にサインしました。
翌日には役所に提出し、無事に離婚が成立。これまでの不誠実な態度を理由に慰謝料と養育費もきっちり請求しました。私は現在、先輩の力を借りて職場復帰を果たし、忙しくも充実した毎日を送っています。
一方、すべてを失った元夫は義実家に転がり込んだものの、酒癖はさらに悪化。今や一歩も外に出ず酒に溺れる日々だそうです。
幸い、養育費については、責任を感じた義両親が肩代わりして支払ってくれています。今の元夫の惨状を知るたびに、あのとき、勇気を持って縁を切って本当に良かったと心から実感しています。
◇ ◇ ◇
子育てをしていると、どちらかが仕事、どちらかが子育てという役割分担をすることも少なくありません。しかし「どちらが偉い」ということはありません。外で働く役割と家を守る役割を分担しながら、対等に支え合うべきではないでしょうか。
環境の変化を受け入れ、互いの苦労を想像し、手を取り合っていくこと——そんな当たり前でありながら大切な思いやりを持てる関係を築けるといいですね。
【取材時期:2026年2月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています。