「とりあえず会社任せ」がもったいない理由

多くの企業でおこなわれる定期健診は、法律で決まった「最低限受けるべき項目」が中心です。もちろん大切ですが、年齢、性別、これまでの病歴、そして家族の病歴(家系)などは一人ひとり異なります。
「会社が決めた項目だから、これだけで自分の全身がチェックできている」と思い込んでしまうのは、とても危険なことなのです! 例えば、働き盛りの世代に必要な胃の精密な検査や、女性特有の病気への視点が欠けている場合があります。
健康診断を「義務」ではなく「自分の体の状態を、プロの目であなた専用に査定してもらう貴重な機会」と捉え直すことが、まずは大切です。
では、「具体的に何に注目して、どんな検査を追加すればいいの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。そこで次に、年齢や状況に合わせた検査の選び方を解説していきます。
年齢別の「推奨検査」と、オプションの選び方

どの検査を受ければいいか迷ったときは、ライフステージ(年齢)に合わせた、以下の「視点」で整理してみましょう。
20代〜30代:生活習慣の「土台」をチェック
不摂生が数値に出始める時期です。基本の血液検査に加えて、将来の胃がんリスクを下げるための「ピロリ菌検査」や、女性の方は「子宮頸がん検診」を早めに受けておくのが大切です。
40代〜50代:病気の芽を摘み取る「攻め」の検査
高血圧や血糖値の上昇が、血管にダメージを与え始める時期です。胃や大腸のカメラ、内臓の状態を診るエコー検査、また「がん検診」を積極的に追加しましょう。
60代以降:これからの「動ける体」を守る検査
血管の老化具合や、骨の強さ、肺の状態などを詳しく調べることをおすすめします。「大きな病気になる前に見つける」ことが、これからの楽しみを維持する鍵になります。
ただし、これらはあくまで「目安」です。年齢が若いから、あるいは項目にないからといって「受けなくていい」ということではありません。もし「なんとなく不安だな」と感じる部分があれば、年齢に関わらず医師に相談して検査を検討していただくことが、今の安心と未来の健康につながります。
「家系」という地図からオプションを整理する

年齢という「平均的な指標」だけでなく、もう一つ、あなただけが持つ大切な指標があります。それが「家系(家族歴)」です。もしご家族に、がんや心臓病、脳の病気を患った方がいれば、そこがあなたの「注意ポイント」です。
胃や大腸が気になるなら「内視鏡検査(カメラ)」、女性なら「乳がん・子宮がん検診」、喫煙歴があるなら「肺のCT検査」というように、ご自身の背景に合わせて項目を付け足しましょう。自分自身の「リスク(なりやすい病気の傾向)」をあらかじめ知っておくことで、検査の精度はぐっと高まります。
こうして自分に最適な検査を受けた後に、何よりも大切になるのが「結果が手元に届いてから」の行動です。せっかく手に入れた貴重なデータを、ただの「記録」で終わらせるのはもったいないです! 自分の未来を守る武器として活かすために、結果が届いたその日から始めるべき具体的なアクションを確認しましょう!
結果を「見て終わり」にしないためのアクションリスト

「異常なしで安心」「再検査と言われたけど、痛くないから放置」……これが一番もったいない受け方です。結果が届いたら、以下のステップで行動に移しましょう。
①「判定」よりも「数値の変化」を確認する
たとえA判定でも、血糖値が去年よりじわじわ上がっていたら要注意です。「今の生活のままで大丈夫か?」を数字で確認しましょう!
②「要再検査・要精密検査」は即、受診を
結果の中にこの文字を見つけると、誰でも不安になるものです。しかし、これは決して「病気だ」という宣告ではありません。むしろ「検査の精度を上げ、白黒はっきりさせることで、確かな安心を手に入れるための通知」です。自覚症状が出る前の「小さな変化」のうちに正体を見極め、適切に対処できることこそが、健康診断を受ける最大のメリットです。
③医師と一緒に「次の一年」をデザインする
結果を持って、かかりつけ医に相談してみてください。「食事をどう変えるか」「運動はどうするか」といった、あなた専用の生活のアドバイスを一緒に作ることが、本当の意味での健康診断のゴールです。
まとめ
健康診断は、単に「病気がないかを確認する場」だけではありません。それ以上に、これから先の毎日を「自分らしく、元気に楽しみ続けるため」に、前向きに考える場でもあります。
自分に合った項目を主体的に選び、その結果を日常の行動へと落とし込む。このサイクルを作ることで、健康診断という時間と費用の投資効果はぐっと高まります。 「もったいない受け方」を卒業して、自分を大切にする一歩を踏み出しましょう。
皆さんが1年後も、その先も、澄んだ空気の中で心からの笑顔で過ごせるよう、今から健康診断を体への最高の投資にしませんか?
監修:橋本将吉先生(内科医)東京むさしのクリニック院長
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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