年末の実家で
実家へ向かう道中、僕が「ごめんね。年末くらいは家でのんびりしたかったよね。父さんと母さんが君に会いたいって言うからさ……」と声をかけると、妻は「大丈夫。お義母さんたちに会えるの楽しみだから」と笑ってくれました。
その笑顔に少し救われたものの、僕の不安は消えませんでした。弟のB男は昔から僕に張り合うところがあり、ことあるごとに嫌みを言ってくる性格です。しかも弟の妻のA子は、かつて僕が付き合っていた相手なのです。僕と交際している間に、弟とも関係を重ねていたのですが、まさかそのまま結婚するとは思ってもいませんでした。
もう終わった話だと自分に言い聞かせ、僕たちは実家の玄関をくぐりました。すると、居間ではB男が我が物顔で寝転がっていて、僕が「父さんたちは?」と聞くと、「買い物に行かせたよ。兄貴たちは子どもいないし、静かなほうがうれしいだろ?」と告げたのです。妻は平静を装っていましたが、僕は嫌みをぶつけられたようで、気分のいいものではありませんでした。
蒸し返された過去
そのとき、奥の部屋からA子が赤ちゃんを抱いて現れました。
A子は「あー久しぶり! 言ってなかったっけ? 無事に生まれたの。かわいいでしょ?」と笑ったあと、僕に視線を向けて、赤ちゃんを軽く揺らしながら「ほら、抱っこしてみる? まあ、元カレに抱っこさせるのも変かもしれないけど」と、わざとらしく続けました。
僕は「無事に生まれてよかったね。おめでとう」とだけ返しました。蒸し返すつもりはなかったからです。ところがA子は、妻に向かって「そちらはまだなんですよね? 奥さん、私より年上でしたよね。急いだほうがいいんじゃないですか?」と言ったのです。B男も横から「兄貴たちは気楽でいいよな」と面白がるように口をはさみました。
さすがにその場の空気が張り詰めました。すると、それまで黙っていた妻が静かにB男を見て、「血が繋がっていなくても、お義父さんとお義母さんにとっては後継ぎですもんね。よかったですね」と告げたのです。その瞬間、B男の顔色が変わりました。
「……何のことだよ」とB男に聞かれ、妻は落ち着いた声のまま、「私が言わなくても、B男さん自身に思い当たる節があるんじゃないですか」と言いました。
真実が明かされて…
実は、A子が僕たち兄弟と二股しているとわかり、僕がA子に別れを告げたころ、A子の異性関係について気になるうわさが耳に入ったのです。それがどうしても引っかかり、弟が結婚を決めたとき、不安を覚えた僕はA子の素行を調べてみました。
わかったことは、当時、A子と関係のあった男性は複数いたこと。そして中でも、ある男性と継続的に会っていた形跡があり、時期を考えても気になる点があったのです。
僕がそういった経緯を話すと、A子は顔をこわばらせて「はっ、なにそれ……。勝手なこと言わないでよ」と言い返してきたものの、声は明らかに上ずっていました。さらにB男に「そんなの信じないで」と訴えましたが、肝心なことをはっきり否定する言葉は、最後まで出てこなかったのです。その様子を見て、B男の表情からも余裕が消えていきました。
「……じゃあ、この子が俺の子じゃないって言いたいのかよ」
強がるような言い方でしたが、声から動揺しているのがわかりました。僕は「断定したいわけじゃないよ。ただ、A子に気になる点がいくつもあったから、お前がそれを知っているのか心配していたんだ」と答えました。するとB男は視線をそらし、「今だから言うけど、俺だってこいつに気になるところはあったよ……」と絞り出すように言ったのです。
そこへ両親が帰宅したのですが、ただならぬ空気に驚いたようです。僕が事情をかいつまんで伝えると、母は深いため息をつき、B男とA子に「今日はもう帰りなさい」と言いました。
2人は何も言えず、そのまま実家をあとにしました。
騒動のあとで
その後、2人は何度も話し合った末に離婚したそうです。A子は最後までごまかしていたようですが、僕が伝えた内容が、B男の不信感を決定的にしたのでした。
離婚後、子どもの養育をめぐってはひと悶着あったものの、最終的には僕の両親が中心になって支えることになり、周囲も協力しながら子どもを育てられる環境を整えました。B男は、自分の甘さを痛感して深く落ち込んでいました。
「赤ちゃんに罪はないわ。私たちも、お義父さんお義母さんと一緒に、できることをしてあげよう?」
と、A子のことで嫌な思いをしたはずの妻は、そんないきさつでも最大限協力すると言ってくれました。僕は芯の強い妻の言動を見て、家族としての絆と責任の大切さを改めて実感したのです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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