「あなたは不要」不倫妻に店を追い出され…
経営が軌道に乗り始めたころから、妻は「経営コンサルタント」と名乗る若い男性を店に出入りさせるようになりました。そしてある日、突然私にこう言い放ったのです。
「今日から彼が共同経営者よ。無能なあなたと、その古臭いレシピはもううちの店には不要だから、出て行ってちょうだい」
なんと妻はコンサルタントと不倫関係になり、長年厨房を支えてきた私を追い出そうとしていたのです。彼のほうも「もっと映えて、コストを下げた料理にしないと生き残れませんよ」と私を鼻で笑いました。
もちろん、妻が勝手に私を店から追い出せるわけではありません。けれど、こんな人たちとこれ以上一緒に店を続けることはできない――そう思った私は、自ら店を去る決意をしました。「わかりました。では、店のパソコンに保存してある、私が考案したレシピデータはすべて削除します」と告げ、私はその場でデータを消去し、店を後にしたのです。
妻と彼は「そんな古いレシピ、もう必要ないから!」「これからは僕たちの時代だ」と、背後で大声で笑っていました。
“映え重視”の新メニューに、常連客の反応は…
妻と彼はしばらく店を休業し、リニューアル後は彼が考案した「見た目重視・コスト削減」の料理を提供し始めたようです。立地は比較的よかったため、彼としてはここで成功を収め、飲食店を多店舗展開していくつもりだったのだと思いますが……。
ところが、リニューアルオープン直後から、長年の常連客から「味が落ちた」「前のほうがよかった」と不満の声が殺到。近くで店を営む仲間の話では、客足はあっという間に遠のいていったそうです。
その一方で、私は貯金をやりくりしながら、小さな食堂をオープンしました。規模こそ小さくなりましたが、本当に自分がおいしいと思える料理だけを出す、私にとって理想の城です。
食堂をオープンした私の前に、元妻が現れて…
オープンから数カ月後、私の食堂は、かつての常連客やご近所の方々の口コミによって、ランチタイムには行列ができるほどの人気店になりました。
一方、元妻たちの店はというと、客離れに歯止めがかからず、あっという間に経営難に陥っていたのです。さらに最悪なことに、彼は店の運転資金を持ち逃げしたまま姿をくらませてしまったそうで……。
ある日、ボロボロになった元妻が私の店にやってきて、「私がバカだった! もう一度一緒に店をやり直して!」と泣きついてきました。しかし、私は冷静に言いました。
「無能な俺には関係ない話だね。もう二度と来ないでくれ」
その後、元妻の店は倒産しました。離婚の際に私が請求した慰謝料の支払いもあり、彼女は現在、借金の返済に追われる日々を送っているそうです。一方の私は、信頼できるスタッフにも恵まれ、忙しくはありながらも充実した毎日を送っています。
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長年守り続けてきた味には、たくさんの努力や工夫、そして人を惹きつける魅力が詰まっていたはず。妻がその価値に気づかないまま、目先の言葉や派手さに流されてしまったのは残念ですが……彼と別れた今、本当に大切だったものに気づいたかもしれません。人との関係も、お店の味も、目先の華やかさではなく、積み重ねてきた信頼や誠実さこそが本当の価値なのかもしれませんね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。