ところが、ある時期から夫の残業や出張が次第に増えました。週末に娘と約束していても、「仕事が入った」と言って出かけてしまうことが続き、少しずつ胸の中に違和感がたまっていったのです。
それでも夫は「今ちょっと忙しくてさ。でも、お前の弁当があるから頑張れる」と笑っていました。私はその言葉を励みに、毎朝早起きしてお弁当を作っていました。
公園で見てしまった光景
ある休日のこと。娘を両親に預けて、家から少し離れた街の公園のそばを通りかかりました。すると、見覚えのある後ろ姿が目に入ったのです。
それは夫でした。
「休日出勤だと言っていたのに、どうしてこんな場所にいるのだろう」
そう思って声をかけようとした、そのときでした。
夫はカバンからお弁当箱を取り出すと、ふたを開け、中身をそのまま公園のゴミ箱にひっくり返して捨ててしまったのです。
あまりにも信じがたい光景で、私はその場から動けませんでした。
さらにそこへ若い女性が現れ、夫に親しげに話しかけてきました。
二人の距離の近さを見れば、ただの同僚や後輩ではないことはすぐに分かりました。
私は二人の様子を動画と写真に収め、その場を後にしました。
違和感を確かめた夜
その夜、夫は何事もなかったかのような顔で帰宅しました。
「疲れた~今日も忙しかった」と、いつも通りに話す姿を見て、かえって胸が冷えていくのを感じました。
その場で問い詰めることはできませんでした。でも、あの光景を見てしまった以上、もう見ないふりはできません。
それから私は、夫の言動を注視しました。帰宅時間や休日の外出、スマホを気にする様子など、小さな違和感が一つずつ積み重なっていきました。
そしてやがて、夫が特定の女性と頻繁に連絡を取り合い、会っていることが分かりました。
私が伝えたこと
後日、私は夫に静かに切り出しました。
「休日出勤って言ってた日、公園にいたのを見たんだ」
夫は一瞬固まり、そのあと慌てて言い訳を始めました。私は続けました。
「お弁当、捨ててたよね」
「もう隠さなくていいから、正直に話して」
夫はしばらく黙り込み、しばらくして、小さな声で言いました。
「……ごめん。会社の取引先で知り合った子と、しばらく前から会っていた」
「お弁当は……一緒に昼食をとることが多くて、食べられなかった」
そう言いながら、夫は何度も「本当に申し訳ない」と繰り返しました。
その姿を見たとき、悲しいというより、もう終わってしまったんだと思いました。
嘘をつき続けながら、私が作ったお弁当を捨てていたことが、どうしても許せませんでした。
これからの選択
その後、私は夫と何度も話し合いました。
信じていた人に裏切られた事実は、簡単には受け止めきれませんでした。娘との生活を守るためには、このまま曖昧にはできません。
夫はやり直したいと言いましたが、一度壊れてしまった信頼は簡単には戻りませんでした。悩んだ末、私は娘と自分の生活を第一に考え、夫と離婚することを選びました。
離婚届に署名したあと、夫は「こんなことになるなんて思っていなかった」とつぶやきました。でも、あんなにやさしかった夫に裏切られたショックは大きく、私の気持ちは戻りませんでした。
あの日、公園であの光景を見ていなければ、私はきっと何も知らないままだったかもしれません。当時は深く傷つきましたが、あのとき夫と別れる決断をしたことで、今の穏やかな生活があるのだと思っています。今では娘と二人で、以前よりもずっと安心して笑える毎日を過ごしています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。