ワンオペ母を救った10歳の息子の正論
夫は、釣りやゴルフ、サウナなど多趣味な人で、趣味のためなら時間もお金も惜しみません。平日は仕事で帰りが遅く、土日になると「リフレッシュが必要」と言って、朝から夜まで家を空けることも多いのです。一方私は、10歳と6歳の子どもたちの食事の支度や習い事の送迎に追われ、たまに、子どもたちが保育園や学校に行っている間、有休を使って仲のいいママ友と数時間のランチをすることだけが、唯一の息抜きでした。
そんなある日、友人から珍しくディナーに誘われました。「たまには私もリフレッシュしたい」と思い、事前に夫へ相談。しかし、返ってきたのは想像を絶する言葉でした。夫は顔を真っ赤にして「子どもを置いて夜に飲みに行くなんて、母親の自覚がなさすぎる。自分勝手な遊びは慎めよ!」と言い放ったのです。
自分の行動を棚に上げた発言に、私は言葉を失いました。怒りと悲しみで震えていると、リビングで宿題をしていた10歳の長男が静かに立ち上がり、夫の目の前に歩み寄ったのです。そして、静かな声で「ママがたまに出かけるだけで怒るなんて、パパこそ『父親の自覚』が足りないんじゃない? パパが遊びに行くとき、ママが文句を言うの、見たことないよ」と言いました。さらに「この前なんて、仕事だって言ってたけど、会社お休みしてサウナ行ってたんでしょ? ぼくの友だちのママが、平日にサウナから出てくるところ見たって言ってたんだから」と、夫が隠していた事実まで暴露したのです。
真っ直ぐな瞳で正論を言われ、秘密にしていた事実を突きつけられた夫は、放心状態でした。息子は私のほうを見て、「ママがいない間は、ぼくがパパの面倒を見てあげるから、ママ、安心して遊びに行ってきなよ。パパ、それなら文句ないよね?」と、さらにたたみかけるように言いました。息子の言葉は、夫のプライドを叩き潰したのです。あんなに威張っていた夫は、情けなく肩を落とし「ごめん」と消え入るような声で謝罪。その夜、夫はずいぶんとおとなしく、当日、私は数年ぶりに心から楽しい時間を過ごすことができたのです。
帰宅すると、慣れない手つきで洗濯物を畳んでいた夫。そして私を見るなり、「……今まで、お前に甘えすぎてた。息子に軽蔑されるのは、もうごめんだ」と言ったのでした。それ以来、自分の自由な時間を作る前に、まずは家族のために動く「当たり前のこと」を自ら行ってくれるようになりました。
私を守り、自分の意見を堂々と言える息子の姿を誇りに思うと同時に、10年間ほぼひとりで頑張ってきた育児が、実を結んだように感じてうれしいと感じました。そして、夫の「家事育児は母親がするもの」という固定概念も、崩せてよかったです。夫婦は互いに支え合っていくものであるはず。相手に感謝する気持ちを持ち、互いの自由を尊重し合える関係を築くことが大切だと感じた出来事でした。
著者:池田いおり/30代・ライター。10歳と6歳の活発な男の子を育てるママ。仕事と子育てに奮闘しつつも、自分の時間を何とか確保してリフレッシュしている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)