わが家の家計は夫が管理しており、私は毎月7万円の生活費を渡され、その範囲でやりくりしていました。
しかしその一方で、夫は義母に毎月10万円以上を仕送りしていたのです。
家計を圧迫する義母への仕送り
その結果、わが家の家計は常に赤字続きでした。特売品を求めて、遠くのスーパーへ自転車を走らせたのも一度や二度ではありません。しかし、どれだけ節約しても足りず、常にお金の心配を抱えながら生活していました。
「うちの生活はどうするの?」
そう問いかけても、夫は不機嫌そうにこう言うだけでした。
「俺が稼いだ金だろ。好きに使わせろ」
家計を助けるため、私が働きに出たいと伝えたときは「俺の稼ぎが少ないと思われるだろ!」と見栄を理由に許してくれませんでした。
夫がそこまで仕送りにこだわる理由は、夫の弟――義弟にありました。
義弟は成績優秀でスポーツも万能。夫は昔から強い劣等感を抱いていたようです。
「義弟は毎月10万円仕送りしている」
義母からそんな話を聞いて、夫は張り合うように同額以上を送り続けていたのです。
そんな生活に限界を感じながらも、収入のない私はすぐに離婚に踏み切ることができませんでした。
義実家で消えたお金
ある日、義弟から連絡があり、4歳の姪が私に会いたがっているから義実家で集まらないかと誘われました。姪はとても懐いてくれていたため、私はすぐに了承。その週末、夫と一緒に義実家へ向かいました。
庭で姪と遊び、ひと息ついたときのことです。何気なく財布を確認すると、入れていたはずの一万円札が減っていました。
ふと、前回遊びに来たことを思い出しました。そのときも一万円札がなくなっていたのです。
こうも義実家で財布からお金が消えることが続くと、義母や義弟を疑ってしまいそうになります。私は不安になり、夫に相談しました。
すると夫は、悪びれもせずこう言ったのです。
「母さんに渡したけど?」
一瞬、意味がわかりませんでした。
「あなたが勝手に? 私の財布から?」と聞き返すと、夫は苛立ったようにこう返してきました。
「俺の金だろ? 文句ある?」
その瞬間、私の中で何かが完全に切れたのです。
私の選択
頭には血が上っているはずなのに、口から出てくる声はひどく冷静でした。
「これからは、お財布を別にしましょう」
「あなたは好きにお金を使っていい。その代わり、私は私で生活するから」
夫は自由に使えるお金が増えると思ったのか、あっさりと了承しました。
その日、帰宅してすぐに私は働く準備を開始。夫は変わらず、私が外で働くことに強く反対していました。
「働くなら、離婚だぞ」
そう言われても、もう迷いはありませんでした。
「財布を分けた以上、働くのは当然でしょ?」
そう言い切った私は、すぐに就職先を見つけて働き始めました。結婚直前まで働いていてブランクが短かったこと、資格があったことが功を奏したようです。
しかし、仕事を始めたことで、夫との関係は決定的に悪化しました。私が仕事を始めて数週間も経たないうちに、夫は記入済みの離婚届を突きつけてきたのです。
そこでも私は迷いませんでした。夫が驚くほど、あっさりと署名。そして、「提出してくる」と言って離婚届を持ち、そのまま荷物をまとめて家を出たのです。
明らかになった事実
数カ月後、弱々しい声の元夫から電話がかかってきました。
「母さんに騙されてたんだ…」
話を聞くと、義母は仕送りされたお金でホストクラブに通っていたそうです。
さらに、義弟が毎月10万円仕送りしているという話も嘘でした。夫のコンプレックスを利用して、わざと高い金額を伝えていたのだといいます。
「俺は悪くないんだ! やり直さないか」
そう言われましたが、私の気持ちは変わりませんでした。妻より見栄を優先する人と、もう一度やり直したいとは思えませんでした。
その後、元義弟の妻から聞いた話ですが、元義母は借金を抱えてしまったそうです。元義弟一家は元義母と距離を置きましたが、元夫は元義母に頼み込まれ、一緒に借金の返済を頑張っているのだとか。
一方で私は、仕事も順調に軌道に乗り、穏やかな日々を取り戻しています。
あのとき元夫から離れることを決断できて、本当によかったと思っています。どんなに世間体を取り繕っても、大切にすべきものを見失えば、すべては崩れてしまう――そう実感した出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。