誰もいない会場、仕組まれた「ドッキリ」
会場のレストランに到着すると、入り口で再会したのは、当時から成績優秀で鼻持ちならなかった同級生の男と、その取り巻きの女でした。
二人は僕の姿を見るなり、クスクスと笑い声を上げました。
「え、お前その格好で来たの? 会場はここじゃないよ。あっちの居酒屋に急遽変更になったから。俺たちも一服したら行くわ(笑)」
そう言って、僕に別の住所が書かれたメモを押し付けてきたのです。僕は疑いもせず、教えられた場所へ向かいました。しかし、そこには誰もおらず、店員さんに聞いても「同窓会の予約なんて入っていませんよ」と言われる始末。
同窓会のグループチャットに連絡しても誰からも返信はなく、30分以上一人でポツンと待ち続けていると、スマホに通知が届きました。
チャットを開くと、元の会場で盛り上がる彼らが「中卒の底辺は別会場で待ちぼうけw」「ドッキリ大成功w」と、僕を嘲笑う動画をアップしていたのです。僕はあまりの幼稚さに呆れ果て、悲しみよりも「まだこんなことをやっているのか」という強い憤りを感じました。
翌日、仕事で訪れた大手建設会社にて
翌日、僕は気を取り直して仕事に向かいました。現在進めている大型プロジェクトの打ち合わせのため、取引先である大手建設会社の本社を訪れたのです。
応接室で待っていると、ガチャリとドアが開き、数人の社員が入ってきました。
「本日はよろしくお願いします……って、えっ!?」
先頭に立っていたのは、昨日僕を騙して高笑いしていた、あの同級生の男と女でした。彼らはこの会社の社員だったのです。
「なんでお前がここに……!? 警備員! 部外者が入り込んでるぞ!」
相変わらずの態度で騒ぎ立てる彼ら。しかし、そこに遅れて入ってきたのは、プロジェクトの責任者である統括課長でした。
「何をしているんだ! こちらは今回、我が社が社運を賭けてお願いしている、内装デザインのスペシャリストだぞ!」
課長の言葉に、二人の顔は一瞬で土気色に変わりました。
「取引は中止で」立場は完全に逆転
二人は震える声で「まさか、こいつ……いえ、彼が……」と絶句しています。僕は課長に向かって、冷静に告げました。
「課長、申し訳ありませんが、うちとの取引は中止でお願いします。御社の社員の方々から、昨日『中卒の底辺とは住む世界が違う』と、非常に丁寧なご指導をいただきまして。そんな風に蔑まれる相手と、信頼関係に基づいた良い仕事ができるとは思えません」
昨日のチャットの投稿画面を見せると、課長は怒りで顔を真っ赤にしました。
「お前たち……! 大事な取引先に何を……!」
男と女は「冗談だったんです! 同窓会のノリで!」と必死に言い訳を始めましたが、僕は一言。「うちとの取引は、一旦白紙に戻させていただきます」と言い残し、席を立ちました。
その後、会社側から平謝りの連絡が入り、問題の二人は上司から厳重注意を受けたそうです。
一方、僕は誠意ある課長との話し合いの末、二人がプロジェクトから外れることを条件に仕事を再開。
学歴を盾に他人をバカにする暇があるなら、まずは目の前の人間と誠実に向き合うべきだ。そう痛感した出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。