更年期症状だと気付かず


中小企業のブランディングの依頼を受け、何度か依頼先の会社を訪れた際、気になる光景を目にしました。
私がヒアリングのために話をした女性管理職の方が、朝礼やミーティングの際に部下にあたるスタッフへの言葉遣いにムラがあることに気付いたのです。
どうやらその女性管理職の方は日によって、上司のささいな言動に対して感情的に反応することもあり、本人も感情をコントロールできない様子でした。何度も話をする中で睡眠障害が起こっていたり、職場でミスを指摘されて涙があふれたりすることがあると打ち明けられました。
本人は心療内科を受診して抑うつ状態であると診断されていましたが、彼女と同年代の私は更年期症状も影響しているのではないかと思ったのです。
一緒に食事をした際に自分の更年期症状について話をした上で、彼女にも同じような経験がないかを聞いてみました。するとのぼせやほてり、日常的にイライラするなどいくつかの更年期症状があることがわかったのです。
更年期症状のある女性管理職の悩み
彼女の話を聞くと、常に更年期の症状が起こっているわけではないようでした。その様子から、繁忙期や大きなストレスにさらされると、更年期症状が悪化していると予想できました。
どんなに体調が悪くても管理職ゆえに簡単に会社を休めない上、部下に代わってもらえない業務も抱えています。心身の不調を感じつつも、部署の業務が円滑に進まなければ上司に叱責(しっせき)される立場です。
男性の上司に更年期症状のつらさを訴えるのもはばかられ、「自分が我慢するしかない」と思って仕事に取り組んでいたと彼女は言います。
そうした女性管理職ならではの悩みを共有してくれる人が、この職場にはいなかったのでした。
職場の環境整備を目指して
責任感の強い彼女は仕事のスピードが速く、年上の部下が何度も同じミスを繰り返すことにいら立っている様子でした。
眠りが浅くイライラ感が強まっているときに部下がミスをすると、必要以上に叱責してしまうようで、退職者も出てしまいました。
その結果、自身の業務負担も増え、さまざまな症状を我慢して頑張っていたものの、その努力を上司からは認めてもらえませんでした。
上司が組織運営に苦言を呈したことをきっかけに、涙が止まらなくなって早退したり、出社しようと思うと体調不良が起こるようになってしまったそうです。
相談を受けた私は彼女に婦人科の受診とともに、食事や運動など私が実践している生活習慣の改善を勧めました。同時に会社に対しては、更年期を含めた女性特有の健康課題に対するリテラシーの向上を提案しています。
女性社員が増える会社において、更年期の悩みについて男性にも理解を深めてもらい、業務が円滑に進む組織をつくることが当面の目標になっています。
まとめ
男性にも更年期はあるものの、女性は閉経に伴う急激なホルモン変化があるため、より心身への影響が顕著に現れやすい傾向があります。今回の事例を通じ、本人の努力や責任感だけでは解決できない「健康課題」が組織の生産性に直結していることを痛感しています。
女性の活躍の場を広げる意味で、更年期を迎えても管理職として仕事が続けられる環境をつくることは必要だと思います。今後もコンサルタントとして、女性が働きやすい職場環境を整えるための提案をしていくつもりです。
医師による解説:更年期と心の不調の密接な関係
「心の病気」か「更年期障害」かの二者択一ではなく、両者が合併しているケースは少なくありません。ホルモンバランスの変化が精神症状を増幅させている可能性もあります。
「うつ」と「更年期」は合併していることも多い
40代後半から50代は心身の転換期です。更年期による女性ホルモンのエストロゲンの減少は脳内の神経伝達物質に影響し、気分の落ち込みやイライラを招きます。心療内科の診断が「抑うつ状態」であっても、その背景に更年期障害が隠れている、あるいは両者が重なり合って症状を重くしていることは珍しくありません。
ホルモンバランスの乱れが、感情の制御を困難にする
女性ホルモンの急激な低下は自律神経を乱すだけでなく、ストレスに対する耐性も下げてしまいます。普段なら流せるようなささいなミスに激高したり、涙が止まらなくなったりするのは、本人の性格や責任感の欠如ではなく、ホルモンの変化が精神症状を増幅させている可能性があります。この視点を持つことが、自分を責めない第一歩となります。
婦人科で相談、ホルモン補充療法や漢方などの選択肢も
つらい症状を我慢し続けず、まずは婦人科を受診してください。減少した女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、心身のバランスを穏やかに整える「漢方薬」など、医学的なアプローチで症状を緩和できます。適切な治療を取り入れることで、仕事のパフォーマンスや周囲との関係性を健やかに保つことが可能になります。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修:國見幸太郎先生(山城公園レディースクリニック 院長)
著者:サトウ ユカコ/50代女性。広告制作プロダクションで、プランナーやディレクター、ライターを兼務。双子を含めた4人の子どもがいる。小学校教諭、幼稚園教諭の資格を持っている。
マンガ:山口がたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
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