席のない祝宴
ある日、義妹の就職祝いで高級寿司店に行くことになりました。ところが店に着くなり、義父は困ったふりをしながらこう言ったのです。
「人数の手配がうまくいっていなくて、悪いがお前の席がないんだ」
さらに妻のA子まで、「こういう席にあなたがいなくても別に困らないでしょ」と冷たく言い放ちました。他の親戚たちも「ごめんなさいねぇ」と白々しい態度。以前から、学歴や経歴について遠回しに軽く扱われることはありましたが、この日の態度はあまりにも露骨でした。
私は静かにその場を離れようとしたのですが、その時、店員のD美さんが予約表を確認しながら不思議そうに声をかけてきました。
「あれ……? 先ほど1名様分のお席を減らしてほしいとご連絡をいただいていましたよね?」
そのひと言で、場の空気が一変しました。義妹が明らかに動揺した表情を浮かべたのです。私は、それですべてを察しました。つまり単なる手違いではなく、最初から私の席だけ意図的に減らされていたのです。
義実家が知らなかった私の転機
気まずい空気の中、D美さんが私に「先日はお世話になりました。お仕事お忙しそうですね」と声をかけてくれました。実はこの寿司店は、最近仕事関係で利用したことがあり、彼女とも面識があったのです。
その流れで義実家にも話すことになりましたが、私は今度、新進気鋭のアニメ制作会社で責任あるポジションを任されることになっていました。創作を続けてきた経験と、前職で培った営業・マネジメント力を評価され、抜擢されたのです。
すると義妹が驚いた声を上げ、「えっ、そこって私の就職先候補だったんだけど……」と言いました。どうやら、義妹も同業界を目指していたようでした。
私は淡々と伝えました。
「仕事でも人間関係でも、誠実さは大切だと思うよ」
その言葉に、義妹は何も言い返せませんでした。
静かに告げた決別
私は感情的にならないよう、できるだけ落ち着いて伝えました。
「以前から感じていましたが、やはり私はこの家では歓迎されていなかったようですね」
そしてA子に向き直り、「価値観が大きく違うようです。これ以上、夫婦として続けていくのは難しいと思います」とはっきり伝えました。その場では義父もA子も強気な態度を崩しませんでしたが、私の気持ちはもう固まっていました。
その後、話し合いを重ねた末、離婚が成立しました。
それから半年後。私は新しい職場で作品作りに集中し、忙しくも充実した日々を送っています。
同時期に開催されたアニメイベントでは、私たちの作品が高い評価を受けることになりました。あのとき見下されていた自分が、今は好きだった世界で正当に評価されている――。その事実が何よりの答えだと感じました。
まとめ
あの日、寿司店で声をかけてくれたD美さんとは、その後も気軽に作品の話をする間柄になりました。あの出来事を経て、人とのつながりは肩書や立場ではなく、互いを尊重し合えるかどうかが大切なのだと実感しています。今は仕事にもより一層前向きに向き合えています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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