ある夜、妻のマミは夫リュウが見知らぬ女性と抱き合う姿を目撃します。「同僚の家で宅飲み」と嘘をついて向かった先にもその女性・モモがおり、夫は「同僚の奥さん」と紹介。マミは静かに激怒し、2人をメチャクチャにすると決意します。
証拠を掴むため、マミはモモを自宅に宿泊させ、ベビーモニターで2人のキスの録画に成功。その後モモの家に同行したマミは、モモが複数の男性と遊んでおり、夫だけが本気で片思いしているのだと悟ります。
そこへ突然マミの父が現れ、リュウを強制的に帰宅させたうえで、酔ったモモから誘導尋問で不倫関係を暴露させます。さらに密かに録音まで押さえました。マミはモモの寝室で隠された「Ryu♡Momo」のペアマグカップを発見し、写真に撮ってリュウに送りつけ、その場を去ります。
帰宅後、鍵がないことに気づいたマミですが、インターホンを鳴らしてもリュウは出てきません。やむなくモモの家へ戻って一夜を過ごした翌朝、リュウからの電話にとぼけたような反応をされ、怒り心頭のマミはモモの目の前で「元旦那の話、嘘だって知っているからね!」と口走ってしまうのでした。
不倫の証拠を手にしたマミは、夫リュウを少しずつ追い詰める決意を固めて帰宅します。しかし、揺さぶりをかけてみても、リュウはまだバレていないと思い込み、酒癖の話や的外れな言い訳を並べるばかり。ヤキモチを焼くフリでカマをかけると、調子に乗ったリュウは甘い言葉を並べ、付き合った記念日すら間違えて誘ってくる始末。呆れ果てた彼が出かけたあと鳴り響くインターホン——モニターに映っていたのは、まさかの浮気相手・モモだったのです。なんと、リュウが、体調の悪いマミのために家事を手伝ってと言って呼んだと言います。
呆れたマミは、モモを家に残して、自分はヨウスケが気になるから実家に帰ると言いました。いよいよマミは、離婚届を入手することにしたのです……。
離婚届と一つ残った懸念点とは











不倫に気づいたときは落ち込んでいたマミですが、それでも息子のヨウスケのことを思えば、前を向くしかありませんでした。あとは後悔してもらって、終わりにする。マミは静かにそう決めていたのです。
ある日の朝、マミの父親が、「離婚届は今日取りに行こうか」と口を開きました。マミは「うん、そうする」とだけ答えました。
役所で用紙を受け取り、これが自分で決めた道だから——そう言い聞かせながらマミは歩き出しました。実家に戻って机に向かい、名前、住所、本籍……カリ、カリ、とペンを走らせる音だけが部屋に響きます。
その夜、マミは父と証拠を整理していました。ベビーモニターに映ったキスの映像、父がモモの家で録音した失言データ、「Ryu♡Momo」と書かれたマグカップの写真——これまで集めてきた記録が並んでいます。
「これだけあれば、慰謝料の話はかなり有利に進められるはず」——父はそう言って、録音データもスマホに送ってくれました。
けれど、一つだけ懸念がある。言い逃れできない決定的な証拠が、まだ弱いのです。顎に手をあて、「ホテルの出入りのような証拠が強いことが多いらしい」と父。キスの映像も失言の録音も、間接的な証拠はある。それでも「やってない」で逃げる可能性はゼロではないと、マミは思ったのです。
今、夫の家には不倫相手が来ている——そう思い至ったマミは何気ない調子でつぶやきました。
「今日に限っては、モニターを寝室の方に移しておけばよかった……」
父の顔がわずかにこわばります。
「……お前、それは冗談で言ってるんだよな?」
マミは目を伏せ、小さく微笑みました。
「半分はね」
決定的な証拠だけが、まだ足りない。それでも、やれることは全部やる。マミの離婚に向けた準備は、もう止まりませんでした。
◇ ◇ ◇
不倫に気づいたとき、感情的に動いてしまう方も多いかもしれません。けれどマミのように、冷静に証拠を集め、信頼できる家族や第三者に相談することが、自分と子どもの未来を守る大きな一歩になるのでしょう。簡単なことではないと思いますが、つらい現実と向き合いながらも「やれることは全部やる」と前を向く姿勢を、私たちも見習いたいですね。
きりぷち