トラブルの予感……?
ある日、私はSNSで最近オープンしたお店の話題のスイーツを見つけました。ママ友たちに話すと「すごくおいしそう!」「まとめ買いすると送料負担も軽くなるし、一緒に注文しよう」と盛り上がり、数人で共同購入することになりました。
私たちが集金の話をしていると、少し離れた場所で話を聞きつけた例のママ友が急に会話に割り込んできたのです。「お取り寄せスイーツ? 私も買う!」これまでの彼女の行動を考えると、またお金をごまかされるのではと不安になりましたが、仲間はずれにするわけにもいかず、渋々一緒に注文することにしました。
商品到着! 信じられないドタキャン
数日後、待ちに待ったスイーツが届きました。園のお迎えの際に、みんなに商品を渡し、その場で代金を受け取る段取りです。もちろん彼女にも、あらかじめメッセージで「明日スイーツを持っていくから、代金をお願いね」と伝えてありました。しかし、いざ園で商品を渡そうとすると、彼女は信じられないことを口にしたのです。
「ごめーん、やっぱいらなーい!」
あまりの身勝手な言い分に、私は思わず言葉を失いました。「無理だよ! もう注文して届いているんだから!」と必死に訴えても、彼女はまったく悪びれる様子がありません。
絶好のアピールチャンス!?
そこへ彼女がいつも媚びを売っている中心的存在のママ友と、そのご主人が、ちょうどお迎えで通りかかりました。実は彼は、地元メディアにもよく取り上げられる人気パティスリーのオーナーシェフなのです。
すると彼女は、私に向かって答えながらも、通りかかったご夫婦に聞かせるように、わざと大きな声で言い訳を始めました。
「実は昨日、あちらのご夫婦のお店でケーキをたくさん買っちゃって! 私、あの旦那様の作るケーキが一番好きなの。こういう名前も知らないお店のお菓子は、今回遠慮しようと思って♪」
そして、彼女は夫婦に満面の笑みを向けたのですが、2人の表情は途端に凍りついていきました。
血の気が引く「種明かし」
静まり返る中、シェフの夫が一歩前に出て、私の持っているスイーツの箱を見つめながら口を開きました。
「普段のケーキを気に入ってくださっているのは光栄です。でも、私の新しい挑戦を食べる前から遠慮されてしまうのは、作り手として少し寂しいですね」
「え……?」
状況が飲み込めず固まる彼女に対し、シェフの妻が静かに告げました。
「そのスイーツ、実は夫が立ち上げる新ブランドなんです。」
その瞬間、気に入られようとした自分の発言で、本人の新作を否定してしまったことに気づき、彼女はみるみる血の気を失っていきました。震える手で慌てて代金を取り出しますが、妻であるママ友がそれを静かに制してこう告げました。
「お支払いは結構です。無理に買っていただく必要はありませんから。その分は、私が代わりに買い取りますね。ただ、ご自身の都合で約束を勝手に破り、周りの方に迷惑をかけるのはいかがなものでしょうか? 」
自分の行動を真っ向から諭された彼女は、周囲の保護者たちからの冷ややかな視線にもいたたまれなくなったのか、「……ごめんなさい」と消え入るような声で謝罪したのでした。
それからというもの、彼女が私たちのグループに無理に割り込んでくることはなくなりました。そして、以前のような身勝手な振る舞いはなくなり、少しずつ自分自身の行いを見つめ直しているようです。いつかまた、適度な距離感で気持ちよく付き合える日が来ることを私たちは願っています。
◇ ◇ ◇
ママ友同士の付き合いの中で、金銭感覚の違いに戸惑うことは少なくありません。特に共同購入などの「お金」が絡む場面では、小さなトラブルが大きな亀裂を生むこともあります。たかが数百円の少額だからと軽く考えず、お金のやり取りこそ誠実に行い、お互いに気持ちよく付き合っていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。