毎年のことですが、会社員・公務員等の給与所得者は年末調整の時期になってきました。勤務先から書類が渡されたり、保険会社から控除証明書が届いたりと、準備を進めている方もいらっしゃると思います。今回は2019年(令和元年)の年末調整の手続きのポイントについてお伝えします。
提出する書類の準備はできていますか?
年末調整では、保険料の支払いや住宅ローンを利用して主に10年以下の方などに所得税・住民税を減額する控除の適用を申請しますが、提出する書類があります。ここでは、多くの方が利用される準備が必要な書類をご説明します。
1. 生命保険料(地震保険料)控除証明書
生命保険や地震保険を2019年中に支払った金額がある場合、保険料の控除証明書が10月中旬頃までを目途に保険会社から届きます。一括払いの場合は、保険証券に同封していることもあります。届かない場合は、保険会社に連絡して再発行してもらうと良いでしょう。
2. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
住宅ローン減税(正式には住宅借入金等特別控除)の適用を受ける人は、金融機関から10月中旬頃までを目途に届きます。2年目以降の住宅ローン減税の適用を受ける人はこの年末残高等証明書と合わせて、税務署から届く「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」を提出します。
3. 社会保険料控除証明書
勤務先の社会保険以外に国民健康保険料や国民年金保険料を支払った期間がある場合には、国民健康保険料はお住まいの市区町村から、国民年金保険料は日本年金機構から社会保険料の控除証明書が届きますので、年末調整で社会保険料控除が追加できます。
4. 小規模企業共済等掛金払込証明書
確定拠出年金・個人型(iDeCo)や中小企業基盤整備機構の共済、心身障害者扶養共済制度の掛金がある場合は、各団体から払込証明書が届きます。こちらは、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
上記の書類が間に合わなかった場合は、人事・総務等の年末調整担当部署に確認して後日の提出ができるか確認をされると良いでしょう。それでも年末調整に間に合わなかった場合は、翌年1月4日から税務署で確定申告をすれば年末調整でできなかった控除の追加ができ、年末調整と同じ税額になり、還付を受けることができます。
また、病気の治療費や分娩費用で多額の医療費がかかった場合の「医療費控除」や2019年に購入した住宅でのはじめての「住宅ローン減税」、災害や盗難などの被害があった場合に適用される「雑損控除」は年末調整では申請できませんので、こちらも確定申告を行うこととなります。
2018年から記入する用紙が3枚になりました
昨年の2018年(平成30年分)から配偶者控除・配偶者特別控除についての用紙が増え、記入する用紙が3枚になりました。
「給与所得者の配偶者控除等申告書」、「給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」の3枚が年末調整の際に記入して提出する用紙となっています。
2020年の所得税・年末調整について
年末調整はその年の1月~12月の給与や賞与から源泉徴収している所得税を、保険料や住宅ローンの控除等を考慮して、年末に再計算(調整)する手続きですが、2020年(令和2年)の1月からの源泉徴収額を計算する上での扶養人数を確認する場でもあります。
詳細は来年の年末調整で確認いただきたいのですが、年収850万円を超える人は所得税が2019年より上がる可能性があることに伴い、毎月の源泉徴収額が増える可能性がありますので、覚えておかれると良いでしょう。逆に年収850万円以下の人は源泉徴収額が多少変化する可能性はありますが、1年単位では所得税の影響はありません。
毎年手続きが煩わしい年末調整ですが、12月から1月に掛けて多くの方が還付を受けられる手続きでもありますので、頑張って漏れのないように手続きをしていただければと思います。