日本の労働者は男性でも育児休業(育休)は制度上利用できるのですが、利用率は低いまま推移しています。2019年9月に小泉進次郎衆議院議員が自身の育休取得についてコメントし、賛否の意見が多く上がりました。
また、外国の首相や自治体の首長(知事や市長等)、有名企業のトップなどが育休を取ることが度々ニュースで取り上げられますが、男性の会社員等の育休はどうなっているのか、実態と制度についてお伝えします。
男性の育休の実態
2018年(平成30年)の男性の育休取得率は、厚生労働省・平成30年度雇用均等基本調査(速報版)によると6.16%でした。これは女性の育休取得率82.2%と比べると低い数字ですが、6年連続で上昇しています。なお、6年前の2012年(平成24年)の男性の育休取得率は1.89%でした。
同調査によると、男性の育児休業の取得期間は5日未満が最も多く全体の56.9%で、1カ月以上の育児休業を取得した割合は16.7%に留まりました。一方、女性は6カ月以上の育児休業を所得した割合は88.2%でした。
また、育児休業の希望をした男性の35.3%は利用できておらず、育児休業を利用しなかった人の理由を見ると、「会社で育児休業制度が整備されていなかった」「育児休業を取得しづらい雰囲気だった」「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」等が上位の理由となっていました。
参考資料::厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得推進のための取り組みについて」
父親の育休の取得促進の制度と助成金
育児休業(育休)は、以下の①~③の要件をすべて満たすと、男女の区別なく取得できる制度です。原則子どもが1歳になるまで(保育所に入れない場合等は最大2歳になるまで)育児休業が取得できます。
①同一の勤務先に継続して1年以上雇用されていること、
②子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること、
③子どもの1歳6カ月または2歳の誕生日の前々日までに労働契約の期間が満了し、かつ契約が更新されないことが明らかでないこと(左記までに労働契約の期間が満了し、かつ契約が更新されないことが明らかな人は育児休業が取得できない)
また、父親の育児休業の取得促進の制度として、以下の2つの制度があります。
【1】パパ・ママ育休プラス
母だけでなく、父も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳2カ月に達するまでに延長される制度(通常は1歳まで、延長された2カ月分は父が対象・また母と父は逆のパターンも可能)
【2】パパ休暇(出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進)
出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても再度の取得が可能。育児休業中は男女の区別なく給料は支払われませんが、雇用保険から月給の3分の2相当(180日以降は2分の1)の育児休業給付金が支払われます。父・母ともに育児休業中であれば、それぞれに育児休業給付金が支払われます。
男性の育休取得率は上昇中ですが、これからさらに育休取得をしやすくなるように政府も会社もさらなる制度の充実が見込まれます。ご夫婦のライフプランやキャリアプランによってパパが育休を取得するかどうかは異なると思いますが、取得したいパパや取得してほしいママは、この制度を最大限利用してください。また、定期的に制度は変わりますので、これから出産を控えている人や検討している人は利用前に制度を改めて確認することをおすすめします。