引っ越し前日に突然の訪問
昼過ぎ、A子さんが「すみません。親戚のことで用事ができてしまって……」と申し訳なさそうに言い、帰ることに。僕はお礼を言って見送りました。
直後、インターホンが鳴りました。玄関を開けると、弟とその妻・B美、そして3人の子どもたちが立っていました。
「兄貴、今日だけお願い!」
「夕方まででいいから、この子たちを見てて」
突然のことで、僕は言葉を失いました。弟夫婦とは気軽に子どもを預かる関係ではなく、その日は荷造りの最中。
「明日引っ越しだから、荷造りしてるんだけど」と断ろうとしても、弟は「本当に少しの間だけだから。あとで迎えにくる」と言い、B美も「時間がないの」と繰り返すばかり。ふたりは詳しい事情も話さず、子どもたちを残して行ってしまったのです。
電話の先にいたのは…!?
断りきれず、僕は子どもたちを預かることにしました。子どもたちは「おじちゃん、手伝うよ」と小さな段ボールを運ぼうとしてくれます。
しかし、子どもたちを見ながらでは、荷造りは進みません。途方に暮れていると、長男がふと思い出したように「あ、ママが困ったらじいじに連絡してって言ってたよ!」と言いました。
言われた番号に電話をかけると……出たのは、なぜかA子さんでした。「えっ、どうしてA子さんが?」「叔父の携帯なんですけど、なぜこの番号を?」と、お互いに戸惑ってしまいました。
話を聞くと、A子さんはB美のいとこで、B美の父は子どもたちの母方の祖父だと言うのです。A子さんは僕の家を出たあと、B美の父の家を訪れ、本人の代わりに電話に出たそうです。
弟夫婦は本来、子どもたちをB美の父に預けるつもりだったようです。しかし仕事の関係ですぐには対応できず、手が空くまでA子さんが見ている予定だったとのこと。どうやら弟夫婦は、僕にもA子さんにも説明せず、預け先を僕に変えてしまったようでした。
身勝手な計画が明らかに
A子さんは「すぐ行きます」と言い、再び僕の家に来てくれました。子どもたちはA子さんを見ると、「Aちゃんだ!」と駆け寄り、僕も肩の力が抜けました。
A子さんは、B美の父にも事情を伝えてくれたようです。弟夫婦には何度も連絡しましたが、返ってきたのは「少し遅くなる。もうちょっとお願い」という短いメッセージだけ。
その日の夜、B美の父が子どもたちを迎えに来てくれました。
「迷惑をかけて本当に申し訳ない。あのふたりには、きちんと話をします」
頭を下げるB美の父に、僕は何とも言えない気持ちになりました。
翌日、弟からようやく連絡がありました。ふたりは夫婦だけで出かけたものの、途中でけんかになり、帰るのも連絡も後回しにしていたそうです。
「子どもたちは無事だったんだから、そんなに怒ることないだろ」
弟の無責任な言葉に、僕は思わず声が大きくなりました。
「無事だったからいい、じゃないだろ。急に子どもを置いていって、連絡もしないなんておかしいよ」
弟は不満そうでしたが、僕は「もう同じことはしないでほしい」と伝え、電話を切りました。
騒動の先に生まれた関係
弟夫婦は、B美の父から「まずは子どもたちのことを第一に考えなさい」と厳しく注意を受けたそうです。さらに、子どもたちを預けたあとに夫婦げんかをしていたことも伝わり、親族の間では「あのふたりに任せきりにするのは心配だ」と話題になったとのこと。
後日、A子さんから「子どもたちが会いたがっているので、叔父の家に来ませんか」と連絡が。顔を出すと、子どもたちは「おじちゃん、来てくれた!」と笑って迎えてくれました。
帰り道では、A子さんから「少しお茶して帰りませんか」と誘ってもらいました。あの日は大変でしたが、A子さんのやさしさに何度も助けられました。その後も顔を合わせるうち、僕はA子さんに惹かれていって……。思い切って気持ちを伝えると、A子さんは少し驚いたあと、ほほえんでくれました。
弟夫婦の身勝手さには今でも呆れます。けれど、その騒動をきっかけに、甥っ子たちともA子さんとも距離が縮まりました。大変でしたが、今では忘れられない日です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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