社宅の隣に越してきたのは…?
技術職ということもあり、僕は昔から身だしなみには無頓着で……。休日は寝ぐせが付いたまま過ごすことも珍しくありません。周囲からは、「冴えないおじさん」と思われていると思います。
一方、妻は同じ会社の総務部で働く明るくしっかりした女性。彼女が新入社員だったころに、僕が研修を担当したことが縁で交際に発展し、結婚に至りました。
そんな折、自宅の配管トラブルによる工事のため、数カ月だけ会社の社宅で暮らすことに。そこで隣の部屋に越してきたのが、今春入社したばかりの20代の男性社員でした。
彼が入社した今春、僕は全社システムの刷新プロジェクトにつきっきりで新人研修に関わっておらず、彼とは社内で顔を合わせたことがありませんでした。しかも、休日の僕はヨレヨレの私服姿です。社宅の駐車場で初めて顔を合わせた際、彼は慣れない社宅暮らしへの不満からか、いら立った様子で、僕を窓際社員か何かだと完全に勘違いしたのでしょう。僕が長年貯金してようやく購入したSUVに乗ろうとすると、
「ずいぶんいい車に乗っているんですね」
と、あからさまに見下したような態度をとってきたのです。
理不尽な要求をしてくる隣人
彼は、会社でも問題行動が多かったよう。配属された営業部でも、学歴を盾にして周囲を見下す態度をとっていたとのことです。
ある週末、僕が社宅の駐車場で洗車をしていると、彼から耳を疑うような要求をされました。彼は、「週末のデートで遠出をしたいが、自分の車では格好がつかないから、代わりに車を貸してほしい」と言っていて……。
当然ながら、万が一の事故の際の保険の適用問題などもあるため丁重にお断りしましたが、彼は不満な様子。声を荒げながら、
「僕は将来の幹部候補なんですよ。これからも付き合いがあると思いますし、同じ会社のよしみで少しは気を利かせてほしいです」と、理不尽な主張をしてきたのです。どうやら、彼は自分が将来出世するに決まっていると信じて疑わないようで……。僕は困り果ててしまいました。
僕の立場を知った隣人は
週明け、僕の所属する部署と隣人の所属する部署で合同会議がありました。彼は、僕の姿を見て名前を聞くなり青ざめた顔でこちらを凝視していました。いつもヨレヨレの私服姿の僕が、スーツを着てキッチリして「システム部門のトップ」として座っているのが信じられなかったのでしょう。
会議後、僕は彼の上司を通じて彼をミーティングルームへ呼び出しました。そして、上司同席のもとで冷静に事実を伝えました。
「学歴は立派かもしれないが、外見や思い込みで相手を判断し、他人に敬意を払えないのはよくないですよ」と。そのような態度は、結果として自分の成長を妨げて、周囲の信頼を失うことにもなると伝えました。僕の話を聞いていた彼は、「申し訳ありません」と深く反省の意を示しました。
後日、彼の上司から聞いた話では、彼はエリート意識とは裏腹に実際の業務で壁にぶつかっており、立派な学歴というプライドだけで必死に自分を保っていたのだそうです。だからこそ、休日にリラックスして余裕のありそうな僕の姿が気に障り、あのように冷たく見下すような態度をとってしまったのでしょう。
一件落着した日の夜、妻と穏やかに食卓を囲みながら、肩書や見栄といった表面的なものではなく、ありのままの自分を受け入れ、尊重し合える関係性こそが何より大切なのだと改めて実感しました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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