こんにちは、保育士の中田馨です。2~3歳になると他人への興味関心が高まり、お友だちとも遊ぶようになってきます。そのため、よくおもちゃの取り合いにもなります。私の保育所では今、2歳前~3歳前半の子がいますので、毎日毎日おもちゃを取ったり取られたりが勃発しています。
今回はお友だちとおもちゃの取り合いがあった場合、親はどう介入すればいいかを話します。
なぜ子どもはおもちゃを取り合うの?
子どもの様子を見ていると、お友だちから取ったおもちゃをすぐにポイっと置いて、別のおもちゃで遊び出す姿を見ることがあります。2~3歳ごろの子どもたちは、お友だちへの興味を持ち、だんだん一緒に遊べるようにはなってきますが、まだ自分で「かして」「どうぞ」ができない時期です。「かして」と言いながら、もうすでに手にお友だちのおもちゃを握っている、そんな感じです。
また、自己主張が強くなってくる時期でもあります。自分のものという所有欲が出てきます。「遊びたい」と興味を持ったら、そのおもちゃをとにかく手に取りたいのです。手に取ってみて、別のおもちゃが気になったら次に行く。まだこの時期は、それが当たり前と思いましょう。
「かして」「どうぞ」のやり取りを覚えよう
友だち同士でのやり取りはうまくいかないことが多いので、大人が仲立ちしながら、お友だちとのやり取りを学ぶことをスタートします。
まずは、ママと子どもが生活や遊びの中で「かして」「どうぞ」のやり取りをしましょう。練習をしたからと言って、子どもたち同士で物の貸し借りが上手にできるとは限りません。「かして」と言われた子も、今遊んでいるおもちゃをすぐに「ハイ、どうぞ」はできないことが多いでしょう。
大人に置き換えてみてください。今読みかけの本を、横から友人に「それおもしろそうだね、今すぐかして」と言われてすぐにはかせませんね。子どもがすぐに「どうぞ」と言えなくても当然なのです。「うちの子、どうぞって渡せないけど大丈夫かしら?」と心配する必要はありません。
取り合いになったら親はどうすればいい?
おもちゃの取り合いがあって、かしてもらえなかったときは「順番」を待つことを教えます。貸してもらえなかった子には、「〇〇ちゃんが遊んでいるから、次にかりようね」と言い、遊んでいる子には「遊び終わったら、次かしてね」と伝えます。
順番を待つことはなかなか忍耐力がいることですが、少しずつ我慢ができる年齢になってくるので、何度も繰り返し伝えていきましょう。遊んでいる子も「次かしてね」と言われているのでお友だちが待っていることは意識しています。しばらく遊んだら「ハイどうぞ」と渡してくれるようになってきます。
取り合いが起こった直後は、それぞれがヒートアップしていますので、大人が「かしなさい!」などと言っても伝わりません。いったんママが仲立ちして、欲しい子には「欲しかったね」、今遊んでいる子には「楽しく遊んでるもんね」とそれぞれの気持ちに共感します。そして落ち着いたところで、それぞれの子に伝えてみましょう。
お友だちをたたいたり噛んだりしたときは?
子ども同士のおもちゃの取り合いで、ありがちなのが「たたく」「噛む」といった行動をしてしまうことです。このころの子どもは、まだ言葉で自分の気持ちをうまく伝えることができません。思い通りにいかないと、とっさに手や口が出てしまうのです。
自分の子どもがお友だちをたたいたり噛んだりしてしまったときは、相手の子どもやママにどう対応すればいいでしょうか。たたいたり噛んだりしたのを見たら、すぐに止め「おもちゃがほしかったんだね。でも、たたいたら痛いよ!」ということを簡単な言葉で伝えます。そして、相手の親子にもその場ですぐに謝ります。
2~3歳の子どものおもちゃの取り合いは、後々の社会性につながってきます。親ができることは、子どもがケガをしないように見守り、気持ちを代弁して言葉で伝える手助けをすることです。「今、人間関係や人との距離感、我慢することをものすごく学んでいるんだ!」と思って、温かく見守ってあげましょう。