嫌われていた上司の退職日
私が現役のサラリーマンだったころ、工場で働いていたときの話です。その工場には、主婦や独身の女性など、多くの人が働いていました。職場の雰囲気は決して悪くありませんでしたが、ひとりだけ、皆から距離を置かれている上司がいました。
その上司は、周囲から強い反感を持たれていました。仕事に厳しいというだけならまだしも、部下への接し方に思いやりが感じられず、普段から周囲に不満を抱かせていたのだと思います。やがて、その上司が定年を迎え、退職することになりました。
あいさつ後、上司が待っていた場所
退職の日、定時後に職場で上司からあいさつがありました。形式的なあいさつが終わると、皆はその場で散会し、それぞれロッカールームへ向かう流れになりました。
ところが、その上司は職場からロッカールームへ向かう途中で、皆を待っていたのです。おそらく、改めて一人ひとりに別れのあいさつをするつもりだったのでしょう。しかし、それに気付いた女性のひとりが、すぐに周囲へ知らせました。
「上司が途中で待っている」
そのひと言で、職場の人たちの動きが一変しました。
誰も上司の前を通らなかった
皆は、まるで示し合わせたかのように、上司のいない別の場所を通ってロッカールームへ向かいました。誰かが声を荒らげたわけでも、直接文句を言ったわけでもありません。ただ、誰もその上司の前を通ろうとしなかったのです。
結果として、上司はそこで完全に待ちぼうけを食わされることになりました。その光景を見たとき、私は何とも言えない気持ちになりました。もちろん、退職の日にそのような扱いを受けるのは寂しいことです。けれど、そこに至るまでの積み重ねがあったからこそ、皆がそういう行動を取ったのだとも感じました。
上司は厳しくてもよいのかもしれません。ただ、どこかで部下に信頼されたり、慕われたりする部分がなければ、最後に人の気持ちは離れてしまうのだと思います。
まとめ
部下を踏みつけるような態度や、自分さえよければいいという振る舞いは、いつか自分に返ってくるのかもしれません。私は出世をしたわけでもなく、皆から特別に慕われたわけでもありません。それでも、少なくともあの上司のように、最後の日に誰からも避けられるような存在にはならずに済んでよかったと、今でも思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:熊野熊蔵/60代男性・アルバイト
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
シニアカレンダー編集部では、自宅介護や老々介護、みとりなど介護に関わる人やシニア世代のお悩みを解決する記事を配信中。介護者やシニア世代の毎日がハッピーになりますように!
シニアカレンダー編集部
「人生100年時代」を、自分らしく元気に過ごしたいと願うシニア世代に有益な情報を提供していきます!